投稿者:岬

タイトル:青坊主
私の通っていた小学校にまつわる話。

仮にI小学校とします。創立100周年を迎えた伝統のある学校なんですが、古いだけにそういう噂はたくさんあります。

まだ学校が木造だった頃、教頭が非番で学校に常駐していました。夜になると巡回してきちんと施錠されているかなど確認して床につくというのが日課になっていました。

ある晩いつものように巡回していると中学年のトイレから呻き声が聞こえます。不審に思った教頭は中に入って調べる事にしました。

懐中電灯の明かりを頼りに個室を調べましたが誰も居ません。教頭は巡回に戻ろうとしたその時、自分が居る空間に気配を感じたそうです。

誰かいる…

教頭はそう思いながら辺りを見渡すと後方に大きな人型が在りました。それは物体ではなく影だったそうです。

明かりといえば懐中電灯しかなくトイレもかなり広いつくりになっていたので無いに等しいものでした。暗闇の中なのにそれは蒼く揺らいでいます。

教頭は恐怖を覚えその場から去りたいという思いにかられました。しかし体が動きません。

まずい…

冷や汗が込み上げる中やっとの思いでトイレから逃げ出しました。しかしそれと同時にそれは叫びながら教頭に迫ってきたそうです。

教頭は必死の思いで職員室に逃げ込み鍵をかけ震えていました。それは職員室の前まで来たようど引き戸を無理矢理に開けようとしています。

教頭はあまりの恐怖に発狂寸前でした。それでもしつこくそれは引き戸をガタガタ揺らしています。今にも蹴破りそうな勢いです。それが何時間も続きました。

ふと音がやみ、それの気配が遠ざかって行きます。

朝になり先生が職員室に入った時、青ざめて放心状態の教頭を発見。すぐさま病院に担ぎこまれましたが3日後、亡くなりました。その間、教頭は鍵を破られた…あれを見てしまったと延々と繰り返していました。

I小学校は墓地を埋め立ててつくられており霊の見たという人が後を絶ちません。

事実、毎年運動会が終わった後、教職員一同で供養のためお供えものをするそうです。その場所は青坊主の墓と言われ普段は誰も近づきません。

青坊主の墓は今も学校の裏山にひっそりと佇んでいます。
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