夜のドライブ

高校三年の冬、免許を取って浮かれていた俺と友人たちは、夜な夜なあてもないドライブをしていた。

その日は友人の車に五人乗り込み地元を走っていた。ラジオを掛けながら川沿いを走る。肉眼で確認できる民家は米粒のように小さい。

右手がすぐ川。左手は田んぼが広がり向かいにはJRの高架線。高架線に突き当たると左折しかない。

高架線に徐々に近付き、車の速度が緩くなる。

「あれ、なんかいないか?」
「赤い光ってるやつ?狸だろ」
「いや、それにしてはでかくねぇか?」

ライトをハイビームにする。

「うわ!人だ!」
「なんだあれ……」

ふいにラジオから流れていた流行りの歌がノイズと共にプツンと切れる。

高架線の突き当たり、ちょうど90度のカーブの所にそれはいた。

カーブに入る。それが真横になる。四つんばいになり手で土を掘り返していた。

後部座席から悲鳴が上がる。振り返ると、後ろの窓に髪の長く、目が真っ赤な女が口を大きく開けてべったりと張りついていた
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