不思議の国のアリス症候群

子供の頃から虫や動物が好きで、近所の草むらや山に入って虫取りをよくしてた。当然、持って帰ってきても飼える能力はなくすぐに死んでしまう虫がほとんどだった。ただ取るのが楽しくて、飼う事やかわいがる事は好きじゃなかったんだと思う。

死んだ虫達は、土に埋めてあげたり、草むらに返したりしたが、ごめんなさいという気持ちは持ってなかった。

小学校3年生の時、突然に夢遊病が始まった。当時団地の4階に住んでいたんだが、気付くと玄関で寝ていたり、窓のサンに立っていたりベランダの柵を乗り越えようとしているとこをオヤジに助けられた事もあった。もちろん記憶はまったく無い。無いが寝ようと布団に入ると必ず同じような事を体験した。

布団に入って天井を見てる。なぜか天井がものすごく遠く高い。ふだん見てる天井とはぜんぜん違うんだ。まわりのタンスや机までもすごい高さだ。まるで魚眼レンズでもつけて見てるような感じだった。

キョロ キョロ見回してると、空から大きなシャボン玉が落ちてきて、それを落とさないように必死で受け止める。シャボン玉というか写真に写るオーブみたいなやつ。

シャボン玉はいっぱい落ちてきて、もう受け止められない!とあきらめるとそこから記憶が無くなる。目が覚めると全然違う場所で寝てる。それが2週間ほど続いた。

このままではあぶないので、近所の有名な不動尊で見てもらうことになった。神主(?)さんらしき人が、御祓いの様なものをしてもらい御札を1枚もらった。たしか【蟲封じ】とかいう御札だった。それを部屋の言われた方角に貼り付けた。その日から夢遊病は治った。

だが、自分がものすごく小さくなって、回りが異常に遠く見えるのはたまになる。知人の精神科医に話したところ、『不思議の国のアリス症候群』というヤツだな。と言われた。あの時の虫達は、まだ俺を許してくれないのだろうか・・・。

−不思議の国のアリス症候群(Alice in Wonderland Syndrome)−
自分の体の一部や全体が大きくなったり小さくなったりして感じたり、周囲のものが大きく見えたり小さく見えたりする。遠ざかって見えたり近づいて見えたり、時間感覚の異常も感じることがある。

※不思議の国のアリス症候群は特別変わった病気ではありません。昔私もこの物語と全く同じ状態だったことをよく覚えています。(ただオーブではなく、ミジンコとかミカヅキモみたいなプランクトンらしきものが視界の上から下へと落ちていくことがよくありました。)子供の頃には多くの方が体験する病気です。ですが、症候群という名前のとおり現段階では原因は特定されておりません。さして危険な病気ではありませんが、子供さんがそんな症状を訴え、気になる方はお医者さんに相談してみてください。
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