心霊スポット

ついこの間の話。

夏だし心霊スポットにでも行くかぁ!とか仲間内で盛り上がってた。でもいい感じに怖いスポットがない。近くに心霊サイトとかテレビでも取り上げられるスポットがあるんだけど、地元ではそこは何もない噂だけの場所ってのは知れ渡っててたいして怖くもない。ちょっと車で行けば白○○○園ってとこがあるらしいのだけど場所がわからん。行く場所が決まらないけど盛り上がってたのでとにかくどっか行きたかった。

そこで俺はある場所を思い出した。昔、4〜5歳の頃住んでた家。かなり広い家っつーか屋敷?で、今現在はぼろぼろの廃屋。なんでも大昔はその場所、首斬り場だったらしい。そんな首狩り場だった場所にある大きな廃屋があるよって言ったらみんな大はしゃぎ!目的地はそこに決定。みんなは面白いかもしれないが、俺はガキの頃とはいえ昔住んでた場所。大して恐くないだろうと。別に住んでて何も怖いもんなかったし。

午前二時頃に到着。いざ着いてみると、甘かった…。メチャクチャ恐い!!立地的にはあんまり恐くない。街からは少し離れて山の方に位置するけど、住宅がポツポツあるし、自転車走らせれば余裕で行ける所にコンビニもある。でも恐い!!

この屋敷、二階だてなんだけど実質居住スペースとして貸し出されてたのは一階部分のみ。二階へは外付けの階段からしか行けない。二階は俺が住んでた頃からすでにボロッボロの廃墟だった。ガキの頃の俺のいい遊び場だった。友達と秘密基地にしたり。

じゃあまず一階からって事になり、突入!…ボロボロだった。俺が住んでた頃と何もかもが違った。そのギャップのせいか、かなり恐かった。真っ暗だったし。でも、みんなでわくわくしながら探索した。

ここ行くと風呂〜とか、ここ便所はぼっとんなんだんだよwとか話ながら。ぼっとん便所の中をなんか出てきたらどーするwとか言って恐る恐るのぞきこんでみたり、でも何もでてこなくてがっかりしたり。で、さらに探索。なんも出てこない。一通り回ってから、二階行くかぁって事で戻りだしたんだよ。あんま恐くねーなーwとか話してたら突然

ガタン!!ゴロゴロゴロ…

二階からの音だった。今まで何もなかったのに突然変な音がなったせいで、何!?え?え?何の音!?やばいやばい!!とかみんなして言い出して、だらけた雰囲気が一転パニックに。でもみんな悪ノリして盛り上がってきたじゃん!と意気揚々と二階に行ったのさ。

俺は変な音が一回鳴っただけなのに、内心やばいな〜…シャレにならんぞ〜…とかビビリまくりだったけど、みんなハイテンション。そのうち感化されて俺も恐さとわくわくが混ざったような感情になってしまって…。

いざ二階へ。さっきの音のせいでみんなかなり慎重になったのだが、あんま意味なかった。音がするんだよ〜…音っつーか声っつーか…どっちつかずの音が。アーアーアーって二階をちょっと進んだくらいからずっと聞こえて…。

普通ならここでうわぁぁぁああ!!!!!って逃げるだろ?ところが俺ら逃げなかった。確かに、おい〜!ちょっと待てよ!!やばいやばい!!これマズイッて!!って感じになったんだけど、ソコは悪ノリした馬鹿男五人、もうシャレにならんくらい恐かったが、無理にテンション上げて先に進んだよ。

進んでる最中も音は聞こえる。でもみんなでいい感じになってきたなぁ〜…(いい感じでもなんでもなくヤバイ状況だったわけだが)と話ながら誤魔化して進んだ。突然、アーアーアーと例の音が大きくなったのさ…。みんなビクッ!と立ち止まりしばし硬直。男同士だってのに密着して…。誰か逃げたらもうみんな一目散に逃げ出すような状況。そんな緊迫した雰囲気で、ガタン!!ゴロゴロゴロ…と一階で聞いた音がすぐソコで。

みんな一斉にそっちの方見たんだよ。そしたらバスケットボールが転がってくるんだよ…。みんな何も言えずに固まってしまい、転がってくるボールを凝視してた。もう頭ン中本当にパニック状態でヤバイヤバイヤバイヤバイ!!としか考えてなかった。それでやめときゃよかったのに一人がボール手に取ったんだよ。

「バカ!!何やってんだよ!!」

とみんな叫んださ〜…

「やめろって!!」

と。

で、ボール持ったやつが本当にガクガクブルブルしだして、

「おい…?」

って言ったらさ、ボールこっちに差し出して

「これ…空気入ってない…べこんべこん…!」

って泣きながら。見たら本当に潰れてて、ぐにゃぐにゃ。さっきまでゴロゴロ音だして転がってたのに。

もう無理だった。本当無理だった。今度こそうわぁぁぁぁぁ!!!とみんな走って逃げた。うわっ!うわっ!ひぁー!って半泣きで逃げたよ。アーアーアーとか聞こえてたせいでみんな注意してなかってけど、結構奥まで来てたらしく、戻るのにちょっと時間かかった。

戻ってる間に前で逃げてる奴と後ろの俺との差が結構開いてた。2Mくらいだったと思うけど、密着してた状態からこんな恐い思いして離れたら遠いよ。俺の後ろにまだ一人いたけど。もちろんまだアーアーアーは聞こえてたよ。恐かった…。

車をちょっと離れた位置に駐車してて、屋敷から出ても全力で車まで走った。車に着いて、パニクリながらも全員いるのを確認して急いで発進した。そうとうあわててたんだろうな…車だして左折しちゃったんだよ。早く出ようとして。戻るには右折しなきゃなんないのに。さらに山の方に行っちゃったのさ〜。

みんな落ち着くまで車の中は荒い呼吸の音と音楽しかしてなかった。運転してる奴もみんなも逆だって事気づいてたけど、言う余裕なんかなかった。大分車進めた後にみんな落ち着いてきて、逆だから戻るかって話になった。でも全員一致であそこまた通るのは嫌だと。かなり遠回りになるけど、このまま山越えてから別の道で…と。

そしたらアホか、暗ーい長ーいトンネルが。うぇ〜マジかよ…あんな事があった後なのにこんなトンネル通るのかよ〜…たぶんみんなそんな気持ちだったと思う。でも、通るしかない。戻るよりかなりマシだと。トンネル入って、トンネル通ってる最中にアレですよ

アーアーアー

「!!!?」

落ち着いてきてたのに、まだ終わってないのですよ。とっさに音楽大音量にしたけど普通にアーアーアー聞こえる。

「もうやめてくれ…」

ってみんな本気で泣きだして…。トンネル抜けてもまだ聞こえる。事故かなんかに遭って、みんな死んじまうんじゃないか…って本気で考えてた。

運がよかったのか、運転手が優秀だったのか、なんとか大通りに出て車のながれも確認できた。ほっとしたよ。普通に車が走ってただけなのに。なんか日常見てる景色がすごく頼もしくみえたよ、本当。音はいつのまにか消えてた。とりあえず他の人に会いたくて、みんなでコンビニ行った。

店員の顔みてぼろぼろ涙出てきたよ。店員「?」って顔してたけど。

そのあと店員にお願いして、駐車場に朝まで居させてもらった。そっからすぐにでかい神社行って、事情説明しておはらいしてもらった。お金はまったく取られなかったけど、すげぇ怒られた。怒られたけどなんか嬉しかった…。

これがつい五日前の土曜の話。アレから何にも起きてないけどまだなんかあるんじゃねぇかとビクビクしてます。

まさか昔住んでた家が本物の心霊スポットで、里帰りのつもりで行ったらこんな目にあうとは思わんかった。軽い気持ちで行くものじゃないよ、もう二度と廃墟とか心霊スポットとか行きたくない。
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