睨む女性
俺が出会い系サイト使うの止めるきっかけになった話をしていいかな。
つい先日まで、俺は出会い系サイトにおぼれていた。週に3人くらい会わないと気がすまない。その日も携帯で連絡取り合って、ホテルに入った。顔もまぁまぁで性格も明るかったんで、
「ラッキー!」
と喜んでいたんだな、その時は。
二人でベットに入っていろいろ話しているうちに、普通とは違うことに俺はすぐに気が付いた。笑いながら会話してるのに、ある瞬間その表情がいきなり変わって物凄い表情で俺を睨んでる。
「え?何か気に障ること言った?」
あわてて聞くと、え?別に、、ってまたもとの表情に戻っている。・・・なんかヤダナ〜って思いながら、先にシャワーを浴びに部屋を出た。
シャワー室はガラス張りなんで、ベットルームから丸見えです。体を洗って、何気に部屋にいる彼女の方を見たら・・・!!!
ものすごい形相で両手と両足、顔をベットルームからシャワー室のガラスにへばりつけて俺を睨んでる!!
マジ凍りついた。目をそらすこともできず、俺は固まった。シャワーのお湯だけは流れっぱなし、だが俺はびびってしまってぴくりとも動けない。
そのとき初めてとんでもない状況になっていることが分かった。視線を部屋の隅に移すとベットの脇に影のようなものが立っている。髪の長い女性だ。さっきまで二人が話していたベットを見下ろすような形で、横を向いて立っている。
何がなんだか分からない、ただ、
「どうしよう・・どうしよう・・」
と頭の中でこの言葉がぐるぐる回っているだけで、俺は何もできなかった。
ふと、後ろの女の影がゆっくりこちらに体を向けるのが分かった。そのとき、俺の頭の中に、
「すぐにこの部屋を出なさい」
って言葉が鐘のようにガンガン鳴り響いた。耳鳴りなんてもんじゃない。頭のすぐ横で鐘を鳴らされているような大音響だった。
その声にびっくりして、はじかれたように俺はシャワー室を飛び出した。素っ裸なんて関係ない。一目散に部屋を飛び出し、ホテルのフロントに駆け込んだ。
何を話したかはよく覚えていないが、ガチガチ震えていたと思う。あとで服を取りに言ってもらった時は、部屋には誰もいなかったようだ。
知らない人と密室にいるのはとても怖いと、そのとき思い知った。
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