第六十一話
語り部:有線 ◆zRMZeyPuLs
ID:6+7dzDRSO
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『思い出』
初めての修学旅行の後。
旅行中に撮った写真の現像を頼みに、木戸さんはカメラ屋さんに入った。
数日後、現像した写真を持って彼女は学校へ向かった。
「これ……、何?」
友達が持っているのは旅館での一枚。
窓の外の夜景を撮ろうとして、失敗したはずだった。
「ちょっと見せて」
窓が鏡のようになっていて、部屋の内部が写り込んでしまっている。夜景は光量が足りなくて露光していなかった。
問題は窓に写り込んだ部屋。
確か、あの部屋は畳敷きの和室だった筈。
写真に写っているのは、等間隔で並んだ白いパイプベッド。枕元のナースコールに、リノリウムの床だった。
【完】
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