第二十七話
語り部:香川のろくでなし ◆23iJ.6jzS6
ID:ssjyKmiS0
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丑の刻参り
これは昨年白血病で亡くなった祖父の話から聞いたです。
まだ祖父が青年の頃 新聞配達の為、朝早くから起きて新聞を配っていました。とはいっても配る時間は朝の三時ぐらいからとまだ暗い頃に配っていたのでした。
ある日、早く配達が終わり、寄り道をして帰っていました。その寄り道は海の近くの林で、月の出てない夜だったらしいので足元がなんとか確認できるかできないかの程度でした。
そのまま林の道を帰ろうとしていたところ、前の方に火の玉らしきものが・・・いやよく見てみるとそれは『人』。火のついた蝋燭が立った輪を頭につけ、長い髪をたらし、白装束を着て下駄で カタン、コロン と歩いていました。
祖父は振るえをこらえながらじっとみているとその人が何かやっているのです。よーくみるとそれは藁人形と金槌と釘を出して木に打ち付けたのです。
カーン カーン カーン カーン
と、静かな夜に釘を打ち付ける音が響きわたる。
祖父は恐ろしくなり、気配を感じられないよう逃げたらしいです。
人の呪いって怖いですよね。
【完】
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