第二十三話
語り部:雪駄◆/FsopyQZxE
ID:hQrzUW490
【023/100】
「百物語ご使用上の注意」
僕は去年の夏の百物語も参加していました。といってもROMしていただけで、語り部ではなく雑談のほうにたまに書き込むだけだったのですが。
去年は百話まで頑張ってつきあっていたのですが、終わる頃には夜も明け始め明るくなっていたと思います。
眠たい目をこすりながら最後の話を読み終え、すっかり怖さにもなれてしまっていた僕は、なんともいえない充実感でいっぱいでした。
「さて、昼から友達と海に行くからひと眠りするか」
こんな季節なので、布団には入らずそのまま部屋のソファに横になってタオルケットをかぶり、夢の中へと落ちていきました。
クーラーガンガンにかけて気持ちよく眠っていると、ふくらはぎのあたりを撫でられた感覚がありました。冷たい手で、なんとなくですが、女性の手ではないかと感じました。
「うはwwwこれはいい淫夢www」
と怖がることなく(夢と意識していたかは覚えていませんが)、むしろ楽しむくらいの余裕があったのですが・・・その冷たい手の感触は腰、背中、次第に上へ上へと上がってきます。仰向けで寝ているのに、ソファと背中の間をゆっくりと、確実に滑りあがってくる感触に少しずつ不気味さを覚え、
「なんか嫌な感じだな」
と思っていました。
手の感触は私の首元まで上ってきて、急に僕の後ろ髪をつかんでギュウっと引っ張り出しました。
「この痛さは夢じゃない!」
焦って体を起こそうとするのですが、金縛り、というやつなのでしょうか、まったく体が動きません。なおもギリギリと髪を引っ張る誰かの手。
「助けて!ごめんなさい!」
誰にともなく、なぜか必死にあやまる僕。怖くて怖くて目もぎゅっと閉じたまま。ソファのクッションに頭がめりこんでいく感触は今でもはっきりと覚えています。
(わタシノ髪・・・)
そんな言葉が頭に響きました。
稲川淳二氏ではないのですが、そのまま意識がスゥーーーーっと・・・
友達からの電話で目が覚めました。
「もうみんな集合してるよ、なにしてんだよ」
「・・・あぁ、ごめん。ゆうべ朝まで起きてたもんだからさ」
「早く海行こうぜ!」
「うん、今から準備するから先行ってて。直接現地行くわ」
今朝のは夢だったのか、心霊現象だったのか・・・
風呂に入って気分を変えようと思い、シャワーを浴び、頭を洗っていると、ごっそり抜けた髪の毛が指にからみつきました。20代前半特有の脱毛とは言い切れない量でした。
そんな体験をしつつも、性懲りもなくまた今夏もきてしまいました。怖くてとても百話まではきけませんが・・・
あれ以来怖くて頭を坊主にしているので、髪をひっぱられることはないかと思いますが、怖いので切りのいいところで今夜は寝るつもりです。
百話まで頑張る方は、終わったからといって、朝になっちゃって明るくなったからといって、気を抜いちゃわないように気をつけてください。
このイベントは、終わってからが一番怖いと思います。
-完-
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