第二十一話
語り部:イブラヒモビッチ ◆NA2JlDKnqo
ID:UW2zDpA3O
【021/100】
『野球部寮』
これは、今通っている高校の先生に聞いた話しです。
その先生が東京の日大にいた頃、使われていない野球部寮に泊まったことがあるそうです。その寮は、過去に部員が死んだため使われなくなったもので、死因はいじめとも事故とも言われ、曖昧だそうです。
先生はそこでさまざまな体験をします。その先生は肝が据わっていたためあまり怖がることは無かったらしいですが。電気が急に消えたり、地下室も無いのに下から
『お〜い』
と呼ぶ声がしたり、いろいろあったらしいですが、今日は、その中で一番怖いと思った話しを書きます。
その先生の後輩―『Aさん』としましょう―がその寮で体験した話しです。その日の夜、Aさんはいつものようにベッドで寝ていました。
しばらくすると、急に金縛りになり、体が動かず、目も開かなくなりました。
『すぐ解けるだろう。』
そう思ってじっとしていたその時!部屋の奥の方から誰かが近付いて来る気配がします。(この時Aさんはなぜかその人が女と分かったそうです。)
その女の人は、Aさん脇まで来ると、息がかかるくらい顔を近付けてAさんの顔を覗き込んできたそうです。
…しばらくそのまま沈黙が続きました。すると、女の人が突然
『…………違う。』
とぼそりとつぶやくと、スーッと来た時と同じように去って行ったということです。
もし、
『違う。』
ではなく、
『みぃ〜つけた。』
だったら…。
その部屋は例の死んだ部員が生前使っていた部屋で、不気味なピエロの人形が置いてあったそうです。
―完―
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