第百話
語り部:蟻 ◆GJCUnhVBSE
ID:yBezmQGa0
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去年、京都へ旅行に行った。
当時の私は、オカルト板は時々覗く程度で、京都にどんな心霊スポットがあるのかほとんど知らなかった。
母が
「化野念仏寺は怖いよ」
と言っていたのを思い出し、旅行の二日目、嵯峨野方面へ向かった。
化野念仏寺近くの停留所でバスを降りたとたん、物凄いオーラを感じた。夏だというのに寒気がし、冷や汗が流れる。霊感のまったくない彼氏も、
「これはやばい」
と震えている。腹痛も始まった。
(ここは本物だ、気軽な気持ちで来るんじゃなかった!)
後悔したが、せっかく来たのだし、辺りの景色が美しいこともあり、とりあえず付近を散策することになった。
かやぶき屋根の年季の入った町並みを沿って歩いていると、分かれ道があり、『この先清滝』と書かれた看板があった。私達はその前で立ち止まり、
「清滝だって。綺麗な滝があるのかな? ここ怖いし、ちょっとそっち行こうよ」
と話し、そちらへ足を進めた。
とたんに、今までとは比較にならない寒気がした。
(こっちの方がやばいんじゃないのか?)
見ると、彼氏も
「こっちには行きたくない」
という。お互いの直感を信じることにして、私達は引き返した。
みなさんもご存知だろう。清滝は全国有数の心霊スポットだということを、旅行から帰宅して開いた2ちゃんオカ板で初めて知った。
妙な胸騒ぎには、素直に従った方が良いのかもしれない。
余談だが、あの京都旅行以来、霊感が強くなった気がする。
[完]
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