第九十九話
語り部:黒影 ◆vi3yuFYKUs
ID:UDZ+PlcUO
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ある合宿所の話。そこは昔から出ると有名で、肝だめしにも時折仕様されていたそうだ。
その合宿所に合宿にきていたKは、夜中にふとトイレに行きたくなり目を覚ました。この合宿所は古く、トイレが就寝場とは別な場所にあり、一度外から回らなくてはならない。だが辺りは暗く不気味だ。
小心者なKは一人で行く気になれず、隣に寝ていたSを起こし付いてきてもらう事にした。眠そうに文句をいうSをなだめ、寒い空気の中外に出る。
ふと何気なく建物の脇の雑木林に目を向けると、何か黒い物が動いている。それをマジマジと見つめたKとSは次の瞬間悲鳴を上げていた。
それは潰れた目から真っ赤な血を垂れ流し、四ん這いで何かを手探りする人の形をしていたのだ。
脱兎の如く建物に逃げるKとS。それは悲鳴で人の存在に気付いたのか、四ん這いのまま俊敏に追い掛けてかた。
どうやら目ではなく足音で判別しているらしく、暗闇の中でも追跡に乱れはなかった。近付いてきた音に思わず後ろを振り返ったKは、前にあった木の根に気付かず勢いよく転んでしまう。だがSはそのまま走って逃げてしまった。
悲鳴も上げる間もなく、Kは追い付かれた。
うつ伏せたKの首筋にかかる生臭い息。
「見ぃーつけたぁ・・・」
気絶する間際Kの脳裏に残ったのは、土と獣の臭い、それから恐怖だった。
それから間もなくして、目玉を抜き取られ干からびたKの死体が発見された。その合宿所は現在閉鎖されているそうだ。
[完]
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