第九十二話

語り部:蟻 ◆GJCUnhVBSE
ID:yBezmQGa0

中学生の頃の話。

カナちゃんという女友達がいた。彼女はちょっとキテる子で、こっくりさんや呪術といったものにはまっていた。

カナちゃんにはゆうこちゃんという恋敵がいて、二人は仲が悪かった。特にカナちゃんはゆうこちゃんを憎く思っていたらしい。ある日カナちゃんが、私にこんなことを教えてくれた。

「あたしね、ゆうこのやつを呪ったんだ。あいつの人形作った。ゆうこが目を怪我するように呪ったよ」

と言って、実際にその人形を見せてくれた。軍手のような素材で作られた人形にゆうこちゃんのフルネームが書いてあり、両目のところにまち針が刺してある。これには私もぞっとして、こう伝えた。

「呪いって良くないよ。いつか自分に跳ね返ってくるよ?」

しかし、カナちゃんは

「大丈夫だよ」

と言ってとりあわなかった。

数日後、ゆうこちゃんが眼帯をして登校してきた。驚いて訊くと、プールで泳いでいたところ、浮いていたガラスの破片で切ったという。軽い怪我だというが、(本当にカナちゃんの呪いが効いたんだ!)と思い、私は恐ろしくてしょうがなかった。

カナちゃんは、ただ、ニヤニヤと嬉しそうに笑っていた。

あれから十年。当時の友人たちとも疎遠になってしまった。今もカナちゃんは誰かを呪っているのだろうか。

(※人名は全て仮名です)

[完]
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