第八十八話
語り部:野村 ◆qV6dwdDny6
ID:XdgGvmGm0
【88/100】
私は東京で一人暮らしをしている学生です。最近って便利なもんですね、大抵のことはコンビニで用足ります。
その日、夜九時ぐらいでしょうか、煙草がきれてしまいました。私は結構なヘビースモーカーで、床につく前の一服がなければぐっすりと眠ることができません。
億劫に思いながらもいそいそと上着を着て、最寄りのコンビニへの、ほんの200メートルほどの道のりを歩きました。
途中、いくつかマンションがあります。そのうちのひとつの、少し古めのマンション。七階建て。
ふと上に目をやると、人が五階の階段の踊り場からおりてきています。珍しくもない。まだ九時だし、それこそ私みたいにちょっとした買いものに出掛けることもある。一回行く手の方を見てもう一度さっきのアパートの階段を見ました。
…人がいました。五階に。
変だな…と思って、そのままそこを見ていると、その男の人、何回も五階の踊り場から降りているのです。六階からの階段から現れて、四階へと消えていく。それを何度も繰り返している。
あれって、なんなんでしょうか。
[完]
⇔戻る