第八十七話

語り部:黒影 ◆vi3yuFYKUs
ID:UDZ+PlcUO

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(若干実況気味の実体験)

昨日8時頃、家族経営の岩盤浴に父の知り合いが訪ねてきたんですが、その人の目付きがやばかった。独特の臭いはしなかったけど、ポン中みたいな雰囲気で気持悪い。そして恐いのは、事務所に行くその人とすれちがう時にいきなりゾワッとしたから驚いて振り替えったら、その人の斜め後ろに黒い人影が張り付いてるのを見た事。悲鳴をあげそうになりました・・・。

その人が帰った後父に聞いた所、その人は二十年程前に自分の子供を殺して刑務所に入っていたそうです。精神的に色々危ない人らしく、お前は絶対に近付くなよ、と言われました。でもなにより恐いのは、来る時にその人に付いていた黒い人影が、事務所から出る時にはいなくなっていた事です。

その後事務所で一人浴衣たたみをしましたが、 背筋がゾクゾクして、正直気絶しそうでした・・・ 。

日付の変わる頃、お風呂に入っていたら脱衣所からガチャン!と硝子の割れる音がして、思わずドアを開けて見たんです。でも何も割れてない。そもそも脱衣所に鏡か洗面台以外に割れそうな物は置いてない筈。

それで不思議に思いながら髪を洗っていて気付いたんですが、風呂場の鏡の上方に黒い曇がかかってるんです。でも私はうつ向いてるから鏡は下側しか見えてない。なのに鏡の全体が分かるんです。そこに何か写ってるのが。

そこでゾワッと鳥肌が立ったんですが、霊に自分が見えているとバレるとまずいので、見えてないふりをしながら手早く髪と体を洗って風呂場から出ました。

それで二階への階段まで小走りで行って階段の電気を付けようとしたんですが、電気が付かない。それどころか階段の一番上の暗闇が動いて見えたんです。その階段を上がりきった所に明らかに何かいる気配がするんですが、もうどうしようもないので目を瞑って手摺をつたって登りました。

その後私は部屋に篭りっきり。 一度ドアの外から硝子の割れる様な音がしました。暫く何も聞こえなくなりましたが、ドアの下の隙間から覗かれている感覚がします。

少しした後パキッパキッと云う音がしつこく鳴り始め、隙間から覗かれている感じが顕著になりました。それであまりにもしつこいものだから・・・奇声を上げてドアを叩き開けて階段を駆け降りて、暗くて区別がつかないので塩と砂糖を引っ付かんで辺りにぶちまけたら、気配も音もなくなりました。

塩と砂糖まみれの床は本日清掃予定です。

[完]
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