第八十五話
語り部:JJJ ◆40XbC9fmEc
ID:xGrWkUwjO
【ライブハウス】
10年以上前の話
友達のバンドを見る為に、私は友達とあるライブハウスに出かけた。そのバンドはメンバーとは友達だけど、ファンでもあったので私はノリノリで盛り上がり、演奏が終わった時には喉がカラカラになり何か飲もうと友達と離れて、ドリンクカウンターへ。
込んでいたので、ドリンクを手にした時には次のバンドがスタートし元居た場所に戻れなくなった私は、仕方なくひとりぽつんと一番後ろの通路を挟んだ左側の壁によりかかり、ドリンク飲みつつ演奏を眺めていた。
しばらくすると『トントン!』勢い良く左肩を後ろから叩かれた。自分の近くには誰も居なかったけど、通路の先は楽屋になっていたので、演奏が終わったメンバーかと思い、何の疑問ももたず振り向くと、そこは壁。
通路は私の右側にあるのだから、壁なのは当たり前っちゃ当たり前。念の為に右側も振り返ってみたのですが、誰も居ない。
おかしいなと思いつつ、寄り掛かり直して再度ステージに目を向けると『トントン!!』今度は“壁に付けている左肩を右手で後ろから” はっきりと叩かれた。
とっさに振り返ると、そこには壁に吸い込まれるように消えていく指先があった。その瞬間ここに居たらヤバイと思い、人込みを掻き分けて友達の所へ戻った。
後でバンドのメンバーに
「あそこ何か出るの?さっき後ろで誰も居ないのに、二回も肩叩かれた」
と言うと驚いた顔をして
「うん。あのライブハウスは出るって聞いてる」
と言いちょっと沈黙してから
「右手が浮遊してるって話だよ」
と。
[完]
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