第八十一話
語り部:高峰 ◆Seek1VG9hU
ID:IdQnVXNdO
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高校の頃は、毎日といっていいくらい金縛りに合っていた。
ある夜も、ベッドに入って寝付いてから、ふと目が覚めると身体が動かない。
金縛りに合うと、ものすごく恐くて唸り声をあげるときと、いつ治るのかなーとのほほんと待つときと2種類あって、そのときは最初は後者の感じで、うつらうつら眠りそうになった。
と、ふと両方の足首に違和感を感じたので意識を向けると、指でがっしりと掴まれた感触がする。しかも、指の方向がベッドの上からじゃなくて、マットの方、身体の下から手が生えて掴まれてるような感じだった。
ぞおっと総毛だって、身体を動かそうともがいたら、両方の手首と二の腕も、同じように誰かが掴む感触がして、やっぱりマットのほうから動かないように固定されていた。
そのうち、布団の上に何かが乗っかってきて、掴んでいる手もどんどん数が増えてくる。気がつくと、腕と足は掴む手で隙間がないほどの有り様。
出ない声をふりしぼって、隣室にいる家族を呼ぼうとしながら、故人になった身内の名前を心の中で呼んて助けを求めたり、さんざん抵抗しても無駄だった。
ぞろりと背中を撫でられ、ガっと爪をたてられて、もうダメだ、と身体の力を抜いた瞬間、ガラッと部屋の扉が開く音がして、固まっていた体が動くようになった。
唸り声を不審に思って、様子を見に来てくれた母親のお陰で金縛りは解けたようだけど、直後の自分は汗びっしょりで、顔面蒼白だったらしい。
手首に掴まれる金縛りは、それ以降も2〜3度ありましたが、あんなにたくさんの手で押さえられたのはこの時だけでした。
[完]
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