第七十三話

語り部:(顔文字略)
ID:a8pCq72I0

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「お婆ちゃん」

この話は僕がまだ小学生の低学年だった時の話です。

近所にいつも色んな話やお菓子をくれるお婆ちゃんがいました。学校の帰りによく散歩中のお婆ちゃんと長話をしたものです。

そんなある日、そのお婆ちゃんが近くの線路で電車に轢かれるという事故がありました。

学校から帰って、家族に聞いた話では凄惨な事故だったようで肉片を回収するのに手間取った様子でした。

それから何日か過ぎた夜・・・

玄関に置いていた忘れ物を取りに行った、その時。

「◯◯ちゃん・・・」

と自分を呼ぶ声が玄関の外からします。

えっ!と思って様子を窺っていると、また小さく呼ぶ声が。

と、同時に玄関の戸がゆっくりと開いていくのを目の端に見ながら急いで家族の皆がいる部屋に逃げ込みました。

もし、戸が開いて入って来る何かを見ていたらどうなっていたかそれを思うと今でも怖い様な、悲しい様な気持ちになります。

[完]
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