第六十五話
語り部:ももちゅん ◆bxVFazo/xo
ID:IwXU1RsZ0
【065/100】
「二階建てアパート」
私の父の話です。
父の仕事は各地を転々とするもので、幼い時分、私や母もそれに付き添い引っ越しを繰り返しました。
その問題のアパートは私が五歳程度の時に2ヵ月程だけ住んでいた二階建てアパートで2DKの狭小な間取りでした。
居間を兼ねる部分に出勤が早い父が。隣の部屋で私や弟と母が就寝します。(これは、朝早くに子供達を起さないための気遣いだったのでしょう)
そのアパートに越してきたとたん、父はかなしばりにあうようになりました。
「胸の上に誰かが立ってる」
後日、同じアパートの私の遊び相手になってくれていた一階に住んでいる少し年上の女の子が
「おかあさんが、よくあそこに住んでられるねえって言ってた」
と私に教えてくれました。
その部屋では自殺騒動があり、父が就寝していた部屋は、まさに私達の入居前に前の住人が息を引き取った場所だったんです。
じゃあ、金縛りにくらいなっても仕方ないか、と、父は霊感がある方なので言ってました。
[完]
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