第六十話

語り部:野村 ◆qV6dwdDny6
ID:XdgGvmGm0

最近あった、不思議な話です。

私は大学二年なんですが、入学当初からずっと仲の良い女友達が三人います。仮に、Yちゃん、Eちゃん、Tちゃんとしますね。

授業前は私を含む四人でいつもおしゃべりをして楽しく過ごします。女が三つで姦しいなんて言いますが、女が四人も集まれば、姦しいなんてもんじゃない。周りの事なんか気にせず、わいわいと盛り上がります。Tちゃんは特におしゃべりで、口を閉じていることの方が珍しいといった感じです。

ある月曜日も新しく買ったCDのことについて熱々と語っていました。そして火曜日も水曜日も木曜日もやっぱり同じように過ごします。

金曜日。私は学校が終わり、家にかえってからふと気になることがあってTちゃんに電話しました。

「Tちゃん、今週の月曜日二限の前の空き時間に話してたじゃん?」

更に話を続けようとしたとき、Tちゃんは少し声を低めにしていいました。

「私今週の月曜は、用事でK先生(Tと私の共通のピアノの先生)とS県にいってたから学校休んだよ?」

Tちゃんはその後すぐ眠いからといって電話を切りました。

おかしいじゃないですか。皆で喋ってたのに。変だと思って、いっしょにいたYちゃんとEちゃんにきいてみたんです。

「今週の月曜、Tって学校休んでた?」
「いや、普通に喋ってたじゃん、四人ともきてたよ?」
「T?CD買ったっていってたじゃん、なにいってんのよ(笑)」

ふたりともTちゃんは学校に来ていたといいきります。

土曜日、K先生のところにレッスンに行きました。

先生「この間ね、用事があってS県に行ったんだけど、私方向音痴じゃない?だからTさんについてきてもらったのよ。ほんと、学校までやすませちゃって悪かったわ。Tさん、あなたになにかいってなかったかしら?」

[完]
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