第五十八話
語り部:蟻 ◆GJCUnhVBSE
ID:yBezmQGa0
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小学校五年生の夏の実体験。
その日、当時住んでいた街に台風が接近していた。確か9119。最悪の被害をもたらしたアレだ。
明け方が近くなるにつれて風雨は強まってきた。外では物凄い音がしているためぐっすり眠ることができず、私は寝たり起きたりしていた。
朝の5時ごろだろうか。ふと、
「シュルシュルシュル」
という音に気づいて目を覚ました。
(なんの音だろう?)
間違いない、その音は部屋の中でしている。私はベッドから身を起こして、暗い部屋の中を見渡した。
カーテンだ。
ベッドの頭の方にある小窓のカーテンが、ひとりでにシュルシュルと開こうとしている!
そのことに気づくなり、私は飛び起きた。
リビングに直行すると、両親は既に起きており、私はたった今体験した出来事を彼らに話した。
その瞬間、私の部屋から
「バリーン!」
という音がした。両親の後について見に行き、驚愕。カーテンが開こうとしていた小窓のガラスに、隣家のガレージの屋根フレーム(※記憶が曖昧です)が突き刺さり、部屋の中はめちゃめちゃになっていたのだ。もちろん、さっきまで私が寝ていたベッドの上も、割れたガラスが散乱して酷いことになっていた。
あの時私を助けてくれたのは一体何者だったのだろうか。
[完]
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