第五十六話

語り部:北風 ◆zn2LXYlGxo
ID:hs1zx9eb0

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「親子」

三年前の冬の事。俺は実家を離れ都会に出て、大学に通っていた。

俺は深夜にバイトをしていて、帰りはいつも午前2時ぐらいだった。その日もいつもと同じように2時前にバイト先を出て帰路に着いた。

都会と言っても都心ではなく、この時間になると人通りもまばらだった。

俺はいつものようにコンビニで夜食を購入し、カゴにのせ自転車にまたがった。コンビニから俺の家まで自転車で10分ほど。

途中に公園がある。俺は公園を自転車で突っ切っていった。

その途中、二人で手を繋いでる人影が見えた。遠めで見てどうやら親子みたいだった。

自転車で脇を通り近くで見ると、母親らしき人がダウンジャケットを着て、娘の方が半袖のワンピースを着ていた。

時間も時間だし、季節的にも半袖ワンピースはおかしい。しかも、母親はダウンジャケットって。

絶対に尋常じゃないと思ったが、俺は恐怖心で来た道を戻ることはできなかった。

一体あれはなんだったんだろう。もしかしたら人ではない「何か」だったのかもしれない。

[完]
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