第五十一話
語り部:コタロー
ID:fHuYKu5V0
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うちの猫。
これはうちの実家の猫のハナシなんだけど、すごい人見知り激しくて、俺が実家に住んでるときはすごいかわいがってたし向こうもそれなりになついてくれたのに、この春から俺がひとり暮らし始めてこないだ久しぶりに実家に帰ったときの奴ときたら借りてきた猫かってくらい固まっちゃって、俺がちょっと後追っかけたら全速力で階段上って逃げやがんの。
これはお仕置きが必要だなってことで、その晩、寝るときに猫も一緒に部屋に連れてあがったのな。
奴は普段おかんの部屋で寝るんだけど、一晩俺と一緒にいさせてイヤでも思い出させてやろうと思ったわけよ。
まあ流石に布団の中までってわけじゃなくてその辺のいすとか座布団で寝るがいいさと思って、ドアを閉めて電気も消したんよ。
そしたら案の定最初はがたがた暴れてさあ。途中から目つぶって音だけ聞いてたんだけどぐるぐる走り回ったりドアを手で何とか開けようとしてたわけ。(無駄な抵抗〜)って思いながら聞いてたら、ふっ、と音がやんで呼吸の音だけになったのね。
諦めて寝たのかなと思って確かめるために目を開けたら
すぐそばでこっちをジーっと見てるの、猫が。
(うわっ)って声に出さずにびっくりしたけど、まあそこに落ち着いたんだろうな程度に考えて寝ようとしたら、なんか急に息苦しくなって。それがだんだんとひどくなってしまいにはほんと呼吸するのがとてもつらくなって、ちょっと待てよもしかしてこの原因は・・・と思って猫の方見たら、
まだこっち見てんの。いや、あれはにらんでた。
だからもうあわてて部屋の扉を開けたら猫は一目散に階下へ走っていって、それと同時に息苦しさはまったくなくなったんだけど、その日は気味悪くて、親にほんとのことは言わずに無理言って居間で寝させてもらった。
結局、あれが何だったのかはわからずじまい。年末帰るのが少しコワい。
[完]
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