第三十一話
語り部: ◆KrithSk2m6
ID:iHYwWtAM0
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タイムカプセル
ひと昔前までは小学校などの卒業記念に、タイムカプセルを埋めるというのが定番行事となっていた。しかしタイムカプセルの中から出てくるのはそうした「懐かしいもの」ばかりではない。
山梨県在住の会社員・青木仁(仮名)氏は約10年ぶりに開かれた小学校の同窓会の席上で、友人たちとタイムカプセルの話をしていた。
「なぁ、今から掘り出しに行って見ないか」
青木氏は仲間数名と母校の小学校へと向かった。
学校は前年に廃校となったばかりだったので、真夜中だというのに彼らは身を隠すことなく正門から侵入することができた。
「たしかココだったよな?」
青木さん達は学校の裏手にある飼育小屋のそばを、スコップで掘り出し始めた。しかしおよそ1メートルほど掘った時、彼らの表情は硬直した。
「こ、これって…」
現れたのは子供の白骨化した死体だった。それを見た瞬間、皆は思わず声をあげた。
「あ、あ、あ、さ、佐藤くんだよ…」
実は彼らが小学校6年生だった頃、同級生の一人が行方不明となる事件がおきた。当時の大人たちは色めきたった。が、結局警察や地元青年団による懸命の捜索もむなしく、行方不明のまま時間だけが経過していったのだ。
やがて、彼の言葉でそのことを思い出した仲間の一人が、おもむろにこうつぶやいた。
「なぁ。そういえばオレ達、タイムカプセルなんか埋めてなかったよな…」
[完]
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