第四話
語り部:影虎 ◆ufyC28b62o
ID:eLalRgqSO
【003/100】
「取り憑かれ」
私と母は折り合いが悪い。かれこれ十年近くになるだろうか、殴り合いになり、私が家出する事も度々ある。
ある日、祖母(母の母)が言った。
「あの子は、誰かに取り憑かれてるんじゃないかねぇ…」
私と祖母は有名な尼さんの所に行き、事情を話した。
祖母の、元姑が取り憑いているとの事だった。つまり、母にしてみれば父方の祖母だ。
祖母は昔嫁ぎ先でイビリにイビられて、離婚した。その鬼婆ぁが、母に取り憑いていると。
母が一人で、違う霊能力者に見て貰った時も同じ事を言われたと聞いた。ひどく祖母と私に執着しているから、無理矢理憑き物落としをするのは難しい、とも。
ということは、私と母は繰り返すのか。祖母が夜逃げ同然で逃げ出して、二度と戻らなかった様に。
そう思ったら、悲しくて涙が出た。
[完]
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