投稿者:海斗

タイトル:そこに…
これは、自分が初めて見える様になってしまった時の話です。

今から20年程前に家族で海に行きました。そこはC県にある普通の海水浴場です。

自分には弟がいまして仮にTとします。

まだ幼かった弟を母が浅瀬で見ていました。自分はある程度なら泳ぐ事ができたので岩場が有るところで遊んでいたのです。その岩場は落差がかなりあるような場所でした。

海面を覗くと貝が光って見えたので親に持って帰ろうとしたその時、自分ではないそして親でもない色白い手が伸びて自分の手を引っ張ったのです。

当時は海の中でも目が開けれたのですがそこに見たのは髪が揺らめき、片目しかない男の人、必死でもがいたのですが、そこは子供だった為大人には適いません。

(このままだと死んでしまう)

と思ったその時、体がふわっと浮かび上がりました

助かった?

とその横を見ると同じ白い手がしかも子供だったんです。

頭に直接声が響いた様な気がしました。

(まだ死んじゃダメ、もうすぐ助かるから)

白い手達が離れると同時にライフセイバーに引き上げられました。

親があとで地元の漁師さんや旅館の人に聞いた話ですが戦時中たくさんの子供が流れついたらしいのです

その後岬近くの祠にお参りに行きました。

それから自分にはいわゆる見える力が備わりました。

恐い話ではありませんがあの水子達には感謝しています。
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