投稿者:チョキ

タイトル:幽霊に罵声
長い上に恐怖体験…とまではいかないんですが。

私が十代の時の話です。彼氏は大学生で社会人のサッカーに入っていました。今度試合をするグランドが初めて行く場所なので、夜にドライブを兼ねて下見にでかけることになりました。

目的の場所は山中の道を通るのと、小雨が降っる上に初めて通る道だったので普段シートベルトを滅多にしない私達でしたが、その日はさすがに危ないからとシートベルトをして走ってました。

夜の上、明かりも乏しい山道(実際はそうじゃないかもしれないけど、暗くてよく分からない)を聞いただけの情報でグランドを探してた私達は、結局道に迷ってるようでした。迷ってるなら迷ってるで諦めて、来た道を引き返せばいいだけの話なんで、車がUターンできる場所があったら引き返すつもりでした。

道は右にガードレール、左は林。ゆるいカーブがある程度の別に見通しの悪い道ではなかった。だけど、急に彼氏はハンドルをとられてしまったのです。

路面は雨で濡れていた為か、車はそのまま蛇行運転状態。広い道ではないので、下手をするよりは、車の動きに逆らわずにいるしかありませんでした。幸い後続車も対向車もナシ。

私は黙って前を向いていました。不思議と冷静になるもんで、景色はゆっくりと動いてるように見えてました。

やがて(一瞬のことかもしれませんが、随分時間が経ったように感じてた)、車は左側の土手のようなものに乗り上がり、そのまま土手の側面を走りながら下へゆっくりと下がって行き、道路へと戻ってなんとか落ち着きそうに。

が、運の悪いことに。道路に到達する前に、その土手(?)の階段らしきものにバウンドし、車はガッタンとゆっくり横に倒れてしまいました。

その頃にはスピードも出てなかったので、ゆっくりと倒れ、私達は当然無傷。シートベルトもしていたので、運転席側を下に倒れ、助手席の私は宙ぶらりん。

ボー然としてたら、調度後ろから車のライトが見えたので、彼氏は私をよじ登ってw助手席のドアから出、その車の人に事情を話して電話のある所まで乗せてもらうことになりました。

JAFを呼び、横倒れになった車をレッカー移動する作業をする中、私は邪魔にならないようにと少し離れた場所で待ってました。

すると、林の中から

『あー、あー、』

という声が聞こえてきた。

暗くて手前の木しか見えないんだけど、すぐ近くから聞こえてるってことはわかりました。

野鳥かな?と思い、近くの枝の辺りとか目をこらして探しましたが見つからず、そのうち作業も終わり、私達はJAFのトラックに運転主さんと三人並んで乗り込み帰途につきました。

その間JAFのおじさんと彼氏があの場所のことを話していました。気持ち悪いところだね、とか。作業中、ずっと変な声がしてたって…。アーアーって声がしてたって。

野鳥じゃなかったの!?

て私は内心びっくり。

JAFの人達や彼氏は、皆その声に気付いていながらも聞こえない振りをして、さらにそちらを絶対見ないようにしながら作業をしていたそうです。

私はその声の主を探してたなんてとてもじゃないけど言えず、黙って話を聞いていました。

野鳥としか思わなかった。野鳥がいる♪ラッキーて即思った。人とかユーレイの声って発想なかった。馬鹿だね私。

翌日、起きたら全身ムチウチで動くことができませんでした。やむなくその日は寝て過ごすことに。

昼寝をしていたら、体の上をツツー…と細くてヒンヤリとした、コードのような物が触れる気配がして目が覚めました。

なんだ?と思ったけど体が動かない。ムチウチで動かないんじゃなくて金縛りのようです。なんだか様子(空気)がおかしいし。頭も動けないんだけど、不思議と部屋の中の様子は見えてきた。そして、ベッドの枕もとにうずくまる奴のことも。

そいつは、実際にはそんな空いたスペースがないところに足を抱えて座り込んでいた。服装は真っ黒な皮の上下で髪型はパンクのニーチャンみたいな。昔のパンクのヒト?前髪長くて口しか見えない。

でもその口元を見た時、そいつはニヤーッと笑ってることに気付いたんです。ヘラヘラしてる。私のこと、嘲笑っているような。

いや、完璧バカにしてる。

その瞬間、私キレました。こんなに体が痛くて辛い思いしてるのに、なーにーが、可笑しいんだと!!

金縛りのはずだったのにガバと起き上がり、そいつの髪を上からわしづかみ。

『テメエ!何がオカシイんダ!!こっち来いゴルァ!!!』

はっきり言ってヤクザ。

でも今まで味わったことがない程の怒りを私は感じてたようで、使ったことのない罵倒の数々をそいつの髪引っ張りながら浴びせていました。

ちなみにそいつの髪は、見た目と違い、まるで羽毛のように柔らか。でも勢いよく引っ張っても頭も体も頑として動かず、反動で私の腕が痛かったくらいです。

びくともしないそいつに罵声を浴びせながら、ふと気付けば元のベッドの上でした。でも喉はガラガラ。痛かった。

私は恐らく連れてきちゃったんでしょうね。それは性格の悪い奴だったんだと思う。人を困らせて、それを見て楽しむような。

でもね、生きてる人間様を舐めてもらっちゃ困ります。恐怖より、怒りの方が出る時だってある。しかも髪を引っ張って怒鳴り倒すことだって。

全然怖い話じゃなくてごめんなさい。でも、一応怖かったです私は。何がって、私のあの極妻ばりの罵声が…私ってこんな怖い女だったのねってorz



これはもう十年以上前の話でしたが、近年も似たような状況で霊らしきものに無意識に襲い掛かりました(__; 怒り爆発の瞬間、何故か右手に武器が現れ、そいつをめった刺しに。



ユーレイさん、反撃する人間もいるんだから、イタズラはやめようね。
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