投稿者:ともなり

タイトル:墓アラシ
これは心霊とは少しずれるんですけど、私が小学校の2年生の夏休みのことです。

2回目の夏休みということもあり、だいたいの学校の仕組みが分かって長い休みがきたことを私はうかれていたのを憶えています。

8月1日の暑い日、お昼から友達と遊ぶ約束をして、いつもの山へ自転車を走らせて向いました。すでに友達は自転車を止めて暑そうに石段に座りこんでいました。この友達は当時一番仲良しの友達で仮にAと呼びます。

A「遅い!」

汗だくでAは私に言うと、すぐに石段をのぼり始めました。

「待って〜な」

私は割と体力に自信がありましたがAは私より体力がありました。

その山のふもとには大きな鳥居がたっていて、そこをくぐるとちょっとした広場になっています。そこに自転車を止め、奥に山の上に向かう石の階段が作られていたので、その階段を15分くらいかけて登るとまた広場が出来ていて、そこを中心にいろんな遊びをして遊んでいたのを憶えています。確かその頂上にはなぜか大砲の様なものがあり、昔はその山は防空壕にも使われていたみたいです。

A「はよー来いや〜」

すでに頂上に着いていたAは下から登ってくる私を見下して笑っています。

「ハアー、、、しんどー」

私が頂上の広場に着くとAはまた走り回っていました。その当時、自分達で秘密基地を作ることが流行っていました。そこで私とAも自分達の秘密基地を作っていなかったので、いい場所を探して基地を作ることになりました。

A「ほんなら、今日はあっちの方に行こか」

っていうのは私はその山でも唯一近づきたくない場所があり、Aになんとか理由を言っていつもその場所を避けていましたが、その日はAが異様にはりっきっており、私もいやいや付いて行きました。

真昼間なのにその場所は背の高い竹や木に囲まれて暗くなっていました。その道は山の斜面を横切るような道になっていて、右側は急な登り斜面で、左側は崖のような下りの急斜面になっていて、注意しながら道を歩いていました。

一時間ほど歩くとまあいい場所があったので、そこで基地を作り遊んでいました。どんどん辺りが暗くなってきたのでそろそろ帰ろうと話していると、

「ドガシャッ」

となにか重たいものを落とす音が聞こえ、私とAは目を合わせAが

「なに、今の音は」

と言うと私も、さあと首をかしげました。すると又音が聞こえてきました。

「ザザッボトボトッ」

さすがに気になりAと音の方へ近寄ると、音は急な斜面の下から聞こえていて私とAはその光景を見て一緒に黙り込みました。それは下の方にお墓が幾つかあり、その墓石は幾つか倒されていました。お墓のお供え物もめちゃくちゃにされていて、無残な姿になっていました。

でも私とAはそのことより、その場で一人で暴れているおじさん?(50〜65ぐらい)の方でした。服はぼろぼろで、髪の毛が異様に長い一見ホームレスのような感じのその人は次々とお墓を倒してはお供え物を散らかしまわって、なにやら怒っている様子だったのを憶えています。頭をかきむしったりしていて明らかに目の焦点があっていませんでした。

A「おい、逃げよ」

Aが唖然としている私に小さく話しかけると私はうなずくだけうなずいて、

「おう」

と言うと、二人で静かに立ち上がり歩き出しました。音は立ててないはずなのに、おじさんはこっちの方へ向かって下から叫んでいました。

Aと私は急いで来た道を辿りながら、走って急斜面を下り泥だらけで階段を降りて入口の広場まで戻り、息を切らしていたら、後ろの山から同じ様に斜面を下って階段を何やら叫びながら降りて来て追いかけてくるので急いで自転車にまたがって、そこを離れながら後ろを振り向くと入口の大きな鳥居の影からニターと笑いながらこっちを見ていました。

以来その山にも行ってませんし、今もその人がいるのかは分かりません。でも私は、その事が気になり10年振りに鳥居まで近寄りましたが、あの顔が忘れられず奥までは行きませんでした。

でも、本当にびっくりしたのはあの日の後、Aのマウンテンバイク(これも流行ってた、、、)のサドルがカッターナイフの様なものでズタズタにされていたのを聞いて私はすごく怖くなったのを憶えています。それからは特に何もありませんが、Aは二度と行かないと言い張っています。
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