投稿者:irie

タイトル:逆
俺の伯母さんは変わった予知夢を良く見る。その予知と言うのが

「血縁者の中で子供が産まれると、必ずその前二週間以内に『逆の性別』の子供が産まれる夢を見る」

と言うものだ。

俺は今も昔もそのようなオカルティックなものは否定派で、

「そんなの前もって子供の性別くらいわかるし」

等と考え、別段食いつきもせず、親戚がその話題で盛り上がっている時も内心小馬鹿にしながら話を合わせる程度だった。

その伯母さんが、変わった夢を見たと言う。その内容が

「男の子の夢を見た。左手を広げ、産まれてすぐ『赤』と呟いた」

と言うものだった。

そしてそのすぐ翌日にまた別の夢を見たとも言っていた。ずいぶん具体的だね、なんだろうね、等と話しながらその場はそれで終わった。

俺はというと「またか」ぐらいのもので気にも留めていなかった。

結局それから親戚が増えた、という話も聞かず、一年近い月日が流れたんだろう。『だろう』と言うのは、信じられない話を聞いたからだ。

その日は祖父の生誕祝いで、ありとあらゆる親戚、友人、知人が集まっていた。俺の地元は沖縄で、南米やハワイにも親戚がたくさんいる。いわゆる移民した人達や、その2世、3世達だ。そのうち、南米からきている親戚(会うのは初めてだが)が語った事が、その信じられない話である。

「最近孫がまた一人増えた。女の子なんだが、先天的な障害で右手を開く事ができない。私に名前をつけてくれと言うものだから、沖縄の海の様に、という意味を込めてアオコと名付けたよ。もう一歳になる。」

俺は背筋が凍った。

「男の子、左手を開き、赤と呟いた」

逆だ。

それより俺の背中を寒くさせたのは、伯母さんがその予知夢の話をした時に話していたもう一つの夢の話である。

「その子が老人の姿で出て来て、『ここまで長生きできたのは貴方のお陰です。』と、満面の笑みで伯母さんに感謝した」

と言うものだった。

考えて欲しい。

全て逆だ。

男は女

開いた左手と開かない右手

赤という呟きとアオコという名前

そして、

長生き

満面の笑み

感謝の言葉・・・

俺はオカルティックなもの信じていないが、正直今も気が気でない。
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