投稿者:由良
タイトル:伝えたかったこと
これは友人Rの体験談です。ちょうど6月、梅雨の時期でした。
友人の結婚式で久々に再会したRと他4人の女だけでカラオケへ行くことになりました。
お酒も入っていたRは普段あまり自らは語らない心霊体験談を語り始めました。Rの家系は霊感が強く母方が特に強くRも昔から見たり聞いたりは日常茶飯事でした。ちなみに私はホラー好きだけど全く見えないタイプです。
Rには幼なじみのA君という友人がいました。私はA君とは顔見知り程度でしたが、話にはよく聞いていました。
本人は
『ただの腐れ縁よ』
と言っていたけど、あまりに仲良しなので高校時代などは付き合っちゃえば〜!?とよくからかっていました。
そのA君が交通事故で昨年亡くなってしまったそうです。バイクと車の接触事故で、A君はバイク共々電柱に突っ込んでほぼ即死だったそうです。
なんと声をかけていいかわからなくて黙っているとRは続けて語りました。
R『梅雨でその夜も大雨だったんだよ。Aのバイト終わりに電話してて、帰ったら連絡するって言ったきり連絡無くてさ…翌朝早くAが死んだって聞いたの。結局それが最後に聞いたAの声になっちゃった……。』
悲しそうに笑いながら、人っていつ死ぬかほんとわかんないよと呟いたR。
R『通夜と葬儀に出席した後で、事故現場に行ったんだけど実感がわかなくてさぁ。バカみたいだけど実はドッキリで生きてるんじゃないの!?とか思ったもん。葬儀でも傷が酷かったのか顔見れなかったから…涙も出なくて。本当に悲しい時って涙も出ないんだよね』
淡々と語るRを見ながらも、かける言葉が見つかりませんでした。
R『事故現場に行った日の夜に寝てたら金縛りにあったの。金縛りはたまにあうから慣れてるけどその日はやけに雨音が大きく聞こえて、しばらくは何も起きなかったんだけど。突然大音量でクラクションとブレーキ音、そして衝突音が聞こえてきて次の瞬間金縛りが解けたの。近所で事故でも起きたのかと思って窓から外を見たけど夜中だったから人も車もいなかったの。
それに………その日は雨降ってなかったんだよね。』
Rはその時初めて涙が出たと語りました。
私の勝手な推測だけどA君は最後に何か伝えたくてRに会いに来たんだと思う。何を伝えたかったかはわからないけど最後に会いたかったのはRだったんだと思った。
私『お互い大切な存在だったんだね。』
声をかけると泣きながら静かに頷いたRの姿が忘れられません。
色々と考えさせられた話でした。
全然怖くなくてごめんなさいm(__)m
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