投稿者:トマト

タイトル:不思議な竹藪
またまた怖くない、どちらかというと不思議な話。

私たち姉弟は子どもの頃大人には見えないものが見えたらしい。おぼろ気な記憶の中でも後々聞いた親の話の中でも

『お前たちはなにもないところを指して〇〇がある、ってよく言ってた』

と言われたのを覚えている。そんな話のひとつ。

私が昔住んでいた家の近くに竹藪があった。持ち主は遠くに住んでいて放置状態だったので昼間でも薄暗くいつも

『子どもだけで近付いちゃ駄目』

と言われていた。

でもそういうところこそ行きたくなるのが子どものサガ。当時キョンシーを始めとする空前のチャイナブームでまだ小学生だった私は『竹藪には必ずパンダがいる』と信じていた。今となっては日本にいるわけないって分かってるけどその頃は弟を連れて結構真剣にパンダ探ししてた。

で、ある日。

いつものように親に内緒で弟と竹藪に入っていった。すると迷うはずがないのに道に迷ってしまい、弟は泣き出すし私はどうしようと焦りながらも出口を探していた。その時、前方に光っている場所が見えた。

薄暗い竹藪の中にあるはずのない光、

『やった出口だ!!』

そう思いその場所へ走っていくと………

パンダがいた。

パンダが美味しそうに笹の葉食べてた。

私と弟はびっくりしてぽかんとそれを見てた。今まで何十回と来てる竹藪にこんな場所なんてなかったし迷うことすらないほど小さな竹藪だ。不思議な場所と可愛らしいパンダに私たちは心底驚いた。

気が付いたら竹藪と隣接してる畑にいた。パンダもあの不思議な場所もない。私はとりあえず

『パンダいたね』

と弟に話しかけた。弟も

『うん、いたね』

と返してくれた。

その後パンダとあの光の場所を探して懲りずに竹藪に入り続けたけど、二度とパンダもあの場所を見付けることはできなかった。(弟はもう怖がって付いて来なくなった)

友達に話すと嘘だ〜!!って必ず言われるけど私も弟もちゃんと体験した実話。あれは一体なんだったんだろう…?もしかしたら子どもの無垢な気持ちに神様が応えてくれたいたずらなのかもしれない…
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