投稿者:幻想孤児
タイトル:雨の地蔵峠
あれは数年前の事で、あまり記憶が定かでは無いですがご了承を…
大阪と奈良の間を走るとある峠があります。そこは土日にもなれば夜景を見に来るカップルで賑わっています。その脇を走る獣道の様な旧道があったので暇潰しにツレと旧道をハイキングしようと言う話になり、昼間ハイキングに行った時の事でした。
わぃわぃ騒ぎながら行きは楽しくハイキングで頂上目指して登っていました。右手には浅い汚い不法行為などが多い小川が流れ、左手には山の斜面の所々に数メートル間隔で地蔵が祭られていました。
『なんか、きしょく悪いなぁ…』
なんて思いながらも、下ネタなどで盛り上がってた事もあり、気にせずにハイキングをしていました。
頂上に到着してタバコを吸って居ると雨雲が出て来たので、早く麓に下りようと言う話になり、さっさと下りる事になりました…そして頂上から少し急ぎ足で下って居た時にポツリポツリと雨が降り出し、びしょ濡れで下って居た時に、俺が一番後ろに居た事もあり、なぜか後ろから違和感を感じふと振り返ってみると、何も居ない…それは当たり前なんだけど、何かがおかしい…
俺は恐る恐る、行きしな見た斜面に無数に祭られた地蔵を見てた…
『んっ?違う!おかしい…ん…やっぱり違う!』
俺は気付いてはならない事に気付いた。
行きに見た無数の地蔵がすべて俺たちの方を向いている!俺は一瞬顔を真っ青にし、立ち止まった!そんな事も知らないツレ達は急ぎ足で下って行って居なくなっていた!
『しまった!』
どしゃ降りの中、足場の悪い泥まみれの道を急いで下った!
後ろから、地蔵が追い掛けて来てる感覚になりながらも急いで下った。心臓はドクンドクン!
とにかくツレ達に話そう!俺はツレ達に追い付いた。その時にたまたま近くに大きな祠?らしき建物を発見したから、皆で雨宿りをする事になった。土や蜘蛛の巣だらけの内部。びしょ濡れの服をパタパタと乾かしながら、ツレ達に話をした。
『斜面にいっぱい地蔵あったやん??あれ、俺が変な違和感感じたから後ろ見たらな、全部地蔵がこっち見てたんやで!行き見た時と向きちゃうかったで!』
ツレは言った…
『あ〜地蔵か?さっき登ってた時に頭が無い地蔵あったから、ジュースの空き缶置いて頭にしてあげたわ』ワラ
俺は凍り付いた…(゚д゚)
そして、ついに事件は起きた。
信じるか信じないかは、皆さんにお任せしますが、その雨宿りしてる祠の中のさらに奥に大きな石碑?が祭られてて、その石碑の裏から
『うぉえぇぇぃ…』
と、ドスの効いたうめき声!!
俺たち全員
『おっ、おぃ!な、今のなんや!?聞いたか?おぃ?』
『ちょ、これマジやばくないか?ちょ、誰か石碑の裏見て来い!』
『嫌やって!アホ言うなや!』
『ジュースの空き缶なんか地蔵の頭にしたお前が悪いんや!お前責任とって見て来いや!』
そんな言い争いの果てに、そいつが責任を取って見に行く事になった。恐る恐るそいつが石碑の裏にゆっくりと入って行った。
俺たちはジッとそれを見てたら、
『う、ひぃやぁぁぁ!!』
俺たちも
『うおぉぉ!!なんや?どないした?』
顔を真っ青にしてツレは出て来て走って俺たちを置いてどしゃ降りの中を逃げて行った。
俺たちもそれに続いて逃げた。どしゃ降りの中必死で!とにかく必死で!
そして後日、そいつから聞いた話によると、あの石碑の裏には何も無かったが、石碑に隠れる様に小さな窓?ガラスも何もないのぞき穴みたいなのがあったらしく、そこから外を見たらしい。そこには、緑色の藻や浮き葉等で緑色に濁った池があり、その池の中から数えきれない程の地蔵がこちらを見ていたらしい。
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