校門

投稿者：あすか

タイトル:校門

俺は霊感が強い。普段生活していてもいつも視界にいる。そんな俺が中学時代体験した最も恐ろしいものについて書こうと思う。

ある日いつものように学校で授業を受け、委員会の仕事をしていた。一応委員長だった俺は友達のＡと遅くまで学校に残っていた。

８時頃学校を閉めるということで学校から出た瞬間、嫌な気配を感じた。俺ほどではないが少々霊感のあるＡも気配を感じた様で早く帰ろうということになり、急いで校門を目指した。

８時ということもあり、辺りは真っ暗。しかし校門には電灯があった。校門が見えた時嫌な気配が現実のものになって現れた。

白いワンピースに赤い靴、腰辺りまで伸びた真っ黒な髪、髪の間から見える目。

その時俺は限りないくらいの恐怖に襲われた。俺らの位置から校門まで５０メートル程度、そいつは電灯のほんの少し前にいる、しかも辺りは真っ暗、そんな鮮明に見える筈がない。

しかし霊感の低いＡは不審がりながらも校門に進む、俺はＡの腕を握った。その瞬間、そいつは俺らの方へ歩いてきた。

それを見たＡはさすがに恐怖を感じたか俺の隣まで戻って来た。俺らはそいつから目を放さないようにゆっくり後退りを始めた。しかしそいつは俺らより早いスピードで近づいて来る。俺らもスピードを上げるがそいつのスピードにはかなわない。

裏門へ行こうと思っていたが到底間に合わない。何故かは分からないが学校の敷地から出れば助かる気がして俺はＡと２手に別れて校門を目指すことにした。

後退りをしたせいで校門まで１００メートル程度になっていた。とにかくＡを逃がすためＡを横に向かって走らせた。２人で一気ににそいつの横１０メートルを走り抜けば逃げられると思った。

Ａが位置についたのを確認した瞬間、俺は後悔と恐怖に襲われた。２人共そいつから目を離していた。俺は左に位置についたＡを見ていた、校門は俺の右側、そいつの気配が俺の近くにいる。

俺は校門の方を振り向いた、その瞬間俺の身体が硬直した。そいつは俺から２メートルほどの所に立っていた。そいつの顔が見える、長い髪の間から見える目が確実に俺の方を見ている、口がニヤリと笑った。

何も考えられない。ただ呆然としていた俺に気付いたＡが俺の名前を叫んだ。その瞬間我に返った俺はＡの方へ走り校門を目指した。とにかく校門を出たいという一心で走った、そいつから一目も放さないように。

しかしそいつは全く動かない。不審に思いながらもとにかく校門を目指した。そいつはこちらを見ている、しかし俺とＡは校門にたどり着いた。その瞬間安心感にかられ俺とＡは一瞬そいつから目を離してしまった。Ａより足が早かった俺はＡに追いつきちょうど同時に校門を越えた。

その瞬間俺は後ろに伸びていた右手の小指と薬指が強い力で掴まれた。後ろを振り向くとそいつがいた。右手で俺を、左手でＡを握って

「こいつじゃない」

と言い残し消えていった。

その時握られた俺の小指と薬指、Ａの左手の親指は今でも動かない。

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