投稿者:ニャー

タイトル:夜釣り
私は以前N県の小さな離島に住んでいました、小さい頃父(65)に聞かされた話です。

父はよく小さな舟を出して夜釣りに出掛けていました。

ある晩に魚がいつもより沢山連れたそうです。釣り始めて時間もたっていなかったそうなんですが、充分釣れたので家路に着く事にしたらしいです。

田舎で街灯もなく道の舗装も行き届いていなかった当時とても不気味だったそうですが、父はいつものようにその獣道を歩いて帰りました。

途中、何かの気配を感じて見上げると、丘の上にボロ布をまとった何かが立っていたそうです。

真夜中の暗闇になぜかハッキリと見えるソレは、小学生の高学年程度の身長で、あっという間に滑るように父の傍迄近付き、無言でじっと立っているそうです。見ると体に巻いてあるボロ布は濡れており、この時父は『ガッパ』(河童)だと気付いたらしいです。

魚の臭いに釣られてよく魚を奪いに来るらしく、島の父の年代の人の間では大漁だった後はマッチを擦るという決まり事が有るらしく『ガッパ』は極端にその臭いを嫌うらしいのです。父はその行為を忘れていたのでした。結局、父は魚をもったまま全力疾走で家に帰ったそうです。

父が一通り話し終わった後注意事項として教えてくれたのは以下。

『ガッパに出くわしても決して怖がってはいけない、あいつらは怖がっている心を見透かす、出くわしたなら大声で一喝すれば逃げていく』

との事でした。

『もし怖がると布団の中まで追い掛けてくるからな…』

どうやら父は逃げた後、布団の中まで追い掛けられたようです。

すいません、昔話に出てきそうなあまり恐くない話ですが以上小さい頃聞いた話でしたw
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