投稿者:るな
タイトル:子供の時に見えたもの
よく、子供には『大人には見えない不思議なもの』が見えると言います。実際、私も子供時代にはそういう類のものが見えていました。
私は5歳ぐらいの頃、団地に住んでいました。その頃、私と母には夜の8時に団地内を散歩する習慣がありました。
その団地は山の中にあって、街灯も少なく不気味でしたが、その時間帯には私たちのように散歩する人が何人もいたので、あまり怖くはありませんでした。そのため、歩いていると知り合いに会うことも少なくありませんでした。
その日も母と散歩していると、向かい側に住んでいる親子に会いました。いつものように、母親同士は世間話を始め、私はその娘さん(高校生くらいだったのでお姉ちゃんと慕っていました)とおしゃべりを始めました。
すると、そこに一人の男の人が通り掛かりました。その人は和服を着ていて、かなり年輩の方に見えました。普通なら、人とすれ違うと母は挨拶をするのですが、その人には全く気づいていないみたいでした。
そこで私が母に挨拶するように言おうとしたら、お姉ちゃんが私の肩を掴んで引き戻しました。
あまりの力の強さにびっくりして、
「お姉ちゃん、何で引っ張るの?」
と聞きました。しかし、お姉ちゃんは答えないで、ぎゅっと私の肩を抱いたまま止まっていました。
しばらくして、肩を掴む手を離し、私に目線を合わせて小声で言いました。
「あの人はね、先週亡くなった人なの。でもまだ天国にいけないでさまよってる。声をかけると、私たちまで連れて行かれちゃうんだよ。だから、見えても見ない振りをするの」
しかし当時の私にはよくわからず、怖くなって半泣き状態でした。目に見える人は全て生きていると考えていましたから。
するとお姉ちゃんは、
「じゃあおまじないをしてあげるね」
と言って、低く何かを呟いたあと、私のおでこを円を描くようになぞりました。それでおまじないは終わり、母親も話が終わり、帰路につきました。
そしてそれから10年以上経ち、私は街中に引っ越しましたが、今でもお姉ちゃんとは付き合いがあります。
つい先日会ったときにその話をしてみると、
「〇〇ちゃん(私の名)は小さい頃はたくさん見えてたのよ。それが怖くてよく泣いてたし。だから私は自己流だけど霊感を下げるおまじないをしたのよ」
と笑って言いました。
そのせいかどうかはわかりませんが、今の私には霊は見えません。お姉ちゃんに感謝する一方、少し残念とも思っています。
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