投稿者:水瓶座
タイトル:掴む手
大学生の頃、まだ実家の自室で寝ていたときの話です。
寝るときは部屋のドアを必ずしっかり閉めるんですが、その晩、ふと覚醒すると、ドアが薄く開いているのに気付きました。部屋を出てすぐにある玄関の、オレンジ色の明かりがぼおっと差し込んでいます。
立て付けが悪いわけでもなく、冬だったので窓も閉まっており、風ひとつありません。深夜でしたが、家族の誰かが来たのかな?と、寝ぼけながら考えていました。
次の瞬間、右手首を思いっ切り引っ張られました。
普通、寝ている人間を動かすのって大変ですよね。この場合ベッドとの摩擦もあるので、かなりの力がいるわけです。しかし、それはもう相当な力で引っ張られました。夢の中で階段から落ちてビクッとなる、なんてレベルではありません。右側を下にして真っ直ぐな姿勢で寝ていたのに、上半身から『くの字』に折れるほど引っ張られたんです。脱臼するんじゃないかというくらい、擬音で表すと『ガツン!』という感じでした。
さすがに飛び起きましたが、部屋にも玄関にも人っ子一人いません。右上半身は掛け布団からはみ出し、右腕はベッドから床へダラリと垂れていました。
季節は先述の通り冬です。ものすごい冷え症のわたしが、そんな体勢で眠れるはずがありません。掴まれた右手首には痕こそありませんでしたが、掴まれた感触はしっかり残っていました。手の大きさから言って、恐らく男性のものだったと思います。
その後も毎晩その部屋で眠り、ひとり暮らしを始めた今も帰省すればその部屋で寝ています。しかしドアが開いていたのも、誰かに引っ張られたのも、それっきりです。
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