投稿者:みつる
タイトル:インターホンの女の子
俺の家族は俺以外皆霊感があります。とは言っても『見える』程度でお祓いとかそんなだいそれた事は出来ません。しかし俺だけが霊感が無い、という疎外感からか是非霊を見てみたいと日頃から思っていました。
事が起きたのは今から六年前、俺が十二歳の時です。その頃我が家ではある話題が盛り上がっていました。
『インターホンに女の子の霊が映っている』
この事を発見したのは五つ年上の兄でした。家族みんなが順番にインターホンを凝視し、あれやこれやの議論が飛び交っていました。俺の順番が来てドキドキしながら画面を見ると、誰も何も映っていません。やっぱり俺だけ見れないのか、これが非常に悔しかったのを覚えています。
しかし子供というのは新しい出来事が起こると昔の事件などさっぱり忘れてしまいます。当然俺も例外ではなくその女の子の霊を忘れてしまいました。
そして俺の人生の転機が訪れました。
その日は父と俺以外皆が出掛けており、あまり仲の良くない父と二人で留守番をしていました。父は昼間から酒を飲み、寝室で寝ていました。
『暇だなぁ』
と思っていた時、来客を告げるインターホンが鳴りました。
なんの疑いもなくインターホンの画面を見ると、画面の奥の方に女の子が立っていました。顔はよく見えませんが、瞬間的に俺は女の子の霊の事を思い出して
『俺にも見えた!』
と感激していました。感激のあまり、インターホン越しで話しかけていました
『何してるの?』
『一人で寂しくない?』
『顔が見えないよ』
等、一方的に言葉を発しました。いくつか疑問に思っていた事がありますが、一番驚いた事が『幽霊って普通に人間と変わらない』という事ですね。
十分程でしょうか一方的な会話も限界になってきて、
『んじゃそろそろ切るよ』
と言った瞬間、今まで微動だにしなかった女の子が動きました。ほんとに文字通り動いた、歩くではなく動きました。この時に改めてこの子は幽霊なんだって確信しました。
女の子はゆっくりとカメラに近付いて来ました。丁度どんな顔が気になっていたので何も言わず女の子の顔が見える距離まで待っていました。
インターホンの受話器を切りました。
見たくない、見たくない、怖い、怖い、なんだあの顔、なんだあの顔、急いで酔い潰れた父の所に行き、必死に耳を塞いで全部忘れようとしました。だって女の子の顔が無表情なのに怒りと悲しみが混った見てはいけない顔をしていたから。
この事件で俺達は引っ越しを決めました。あれ以降何も起きませんでしたが、大事を取って、何か起きてからでは遅いという判断からでした。
この事がきっかけで母は地元でも有名な霊能力者の所に通い始めて、なぜあんな事になったのかを調べてくれました。
〜原因〜
簡単に言いますと、あれは俺が悪いらしく無闇に霊が見たいと強く念じてしまったから、という事です。だからあの女の子の霊は俺の前に現れて、
『霊とはこういう存在、恐ろしいものだから見たいなんて思うな』
と警告してくれたそうです。もちろんそれっきり霊は見たくない、と思いながら過ごしています。
でもあの女の子の霊は俺に警告をしてくれた。その優しさが嬉しかったです。例え幽霊になっても、例え怖い姿になっても人間の優しさは持っている、この事が非常に印象に残っています。
乱文、長文、全然怖くない文すいませんでした。皆様も霊を見たいだなんて思わないで下さい。霊を霊のままそっとしときましょう。
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