投稿者:S氏

タイトル:オレと車と恋人
怖くない話ですが、一筆及び駄文を失礼。

オレは免許を取るまで車に興味はなかったんだけど、たまたま姉からのお下がりがスポーツカーだったこともあって、今ではすごく車が好き。

これは、そんなオレが事故にあったときの話。

昔付き合っていた彼女の姉曰く、オレにはなんか動物に関するよくないことが起きるとか。でも中学生だった当時は

「言ってろ、ナイチチ」

とかバカにしてた。しかし彼女はなぜか真剣で

「なら、それからわたしが守る」

とか抜かしていたんだよ。

それからまぁ、時間が少しながれて、高校に上がってすぐに彼女が持病で亡くなった。心臓の筋肉が弱くなって、最後は死んじゃうって、なんか難しい病気。心筋梗塞の逆ってくらいって知識しかないんだけど。

確かに落ち込んだし、泣きまくった。しばらくなんにもしたくなかったし、しても楽しくなかった。

で、月日は流れ、オレは免許を取得。姉のお下がりの車を毎晩走らせていた。

ある夏、小雨が降ってたんだけど、雨の日に走らせていたけとなんてたくさんあったし、何より天狗になってたから、事故らないって勝手に決めつけていたんだ。

いつも走ってる場所まで、田んぼばっかの道を通るんだけど、走り込む前の準備運動みたいな感じで、その道も結構飛ばしてた。道も広いし、何かあっても大丈夫とかかんがえてたんだろうね。

コーナーをグリップで行ける限界のスピードで曲がって、出口付近。まさかそこにいるとは思わなかった。

タヌキ。

オレの実家は田舎だから夏は頻繁に出現するタヌキ。でもこんなところで?ってタイミングだった。

慌てよけて、大丈夫だった!ひいてない!って確認した時、車が滑ってぐるりと一回転。見事にスリップして、田んぼに水を送るための土手にドッシャーン!一瞬何が起きたかわからなかった。

ぼーぜんとしてた時、カーステから急に声がしたんだよ。

「よかった、間に合って」

って。

それを聞いてから、事故ったって頭が理解して、外に出ようとしたんだ。何故かその声にはまったく不思議とか怖いとか、その時は思わなかった。

ゆっくりと外にでて車を見た。そしたらなんと見事にリアから直角に立ってるの。リアは完全に潰れてたから廃車になっちゃったけど。

警察呼んで、現場検証してるときに気付いた。あと十センチ侵入角度がずれてたら車は横転して、死んでたかも知れなかった。もしかしたら、律儀に昔の約束を守りに来たのか?とか、本気で思った。

後日、自称守護霊が見える友人にいわせてみれば、

「あんたの守護霊、いい子ね。でもあんましむちゃくちゃしてると愛想つかされちゃうよ?事故の時無傷だったの、彼女のおかげよ」

だそうだ。

まぁ、それはさておき、それからオレは安全運動を…ということはない。今もガンガン走ってる。ただ、気を付けていることもある。

雨の日には走らせない。公道を走らせる時は、ある程度余裕を持って。それと、楽しく走らせた後は、車と、多分いまも護ってくれているだろう彼女に必ず感謝をする。

本当に彼女が護ってくれたかは知らないし、あのスピーカーからの声の正体も未だ不明だけど。とりあえず、ありがとう!あと、愛想つかさないでください(汗)



追記
オレ、あいつが亡くなってから、かなり女運悪いんだけど…まさか彼女のせいとか、ないよな?だとしたら守護霊とかじゃなくて、もう悪霊ですよ、まったく(笑)
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