ホンモノとニセモノ

地元に心霊スポットの公園がありサークルで知り合った2人を連れて行った。その公園は山の頂上付近で夜になると誰も近づかない場所だった。山道を30分ぐらい歩き、公園に着いた時点で午前2時を過ぎていた。

地元民の目撃証言によると、その公園で首を吊ろうとして上手く吊れずにもがき苦しんだ後、死んだ男性の霊が昼夜問わず助けを求めて出てくるという事だった。

自称霊感少女の愛美は、話を聞くなり公園の左隅にある木を指差し

「あそこ。辛そうに泣いてる」

と言い、木の下に座り込んだ。

(ちょwそこにはいませんよww)

僕と竜也(お寺の息子のメガネ君)は小さい頃から見える体質で、愛美の見えるフリを見るのが楽しかった。現に、男性は右隅の木にいて目をひんむいて足をバタバタさせている。

木の下で座り込み、ウンウンと頷いている愛美に、

「何て言ってるの?」

と竜也が聞いた。

「妻と子供に会いたいだって。」

(その人は独身ですよ地元のおっさんが言ってた)

また笑いが込み上げてきた。あまりに真剣な顔の愛美に余計に笑った。

これ以上ここにいたらいけないような気がして公園を出て山を降りた。

竜也の車で近くのコンビニまで走っていると、フロントガラスにバタバタともがく足が見えた。思わず

「うわっ」

と声が出た。すぐにすぅーっと消えていなくなったのに愛美は、

「苦しい、息が。やめて!成仏しなさい!」

迫真の演技。

「大丈夫か!?」

あえてノッてみた。

「大丈夫。雅樹(自分)と竜也には迷惑かけないから」

何かブツブツ言った後、フゥとため息をついた。除霊が終わったらしい。

笑いたかったが我慢してコンビニに着いてトイレに駆け込み爆笑した。
⇔戻る