嘘から出た真
俺の友人の話です。
奴は作家志望(というか印税生活志望)で、いろんな出版社に駄文を書いてはよく送り付けてました。
そして去年、この板にいる方は知ってらっしゃるかと思います、某実話怪談本の企画に応募するために一編の話を書き上げまして。まあその話自体奴の創作(この時点で規約的にはアウトなんですが)だったんですけど。
で、その日の深夜に奴から電話が掛かって来まして…なんだか凄く取り乱してる様子で。
「な、なあ○○(自分のことです)、今さ…どこにいる?」
「どこって、自分の部屋だけど」
「い、い、今から俺の家来てくれん?」
「やだよ。何時だと思っとるんよ」
「やばいんだよ…押入れからさ…押入れから白い女が…」
「それお前が書いた話やろうが。からかっとるんか?」
「い、いや、ホントなんだって!ほん…ちょっ…嫌だ…まっ…プツッ(電話切れた)」
その時は手の込んだいたずらかと思って放置しました。
そしてそれ以来、その友人は失踪してしまいました。
友人の部屋からは、あの話を書いた原稿は見つかりませんでした。
そして、それほどの事件だったにもかかわらず確かにあの話を聞いたはずの俺の記憶にも話の内容は殆ど残っていません。
ただ、最後に友人が言った「押入れ」「白い女」というのが記憶に残るのみです。創作であったはずのあの話、それのどこかが「あちら側」の琴線に触れてしまったのでしょうか?
もはや何も真実はわかりません。
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