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中学の頃の先生から聞いた話。長い話だったんだけど、自分なりに短めにまとめてみます。

先生がまだ大学生の時、大学の先輩が教員免許を取るために小学校に実習に行ったそうだ。先輩は受け持ちになったクラスの子供達とすぐに打ち解け、大変な実習もどうにか乗り越えられそうだった。

実習終了まで後わずかとなったある日、受け持ちのクラスの女の子の家が火事になり、二階の子供部屋で寝ていた女の子とお兄ちゃんが亡くなってしまった。一階で寝ていた両親と生後数ヶ月の赤ちゃんはどうにか逃げ出して助かった。突然の訃報にショックを受けたクラスメイト達は、みんな泣きながらお葬式に出席した。

お葬式の後学校へ戻った先輩は、クラスの子達が授業の時間に描いた絵を見ていた。絵の課題は

「家族の絵を描きなさい。」

みんな思い思いに自分の家族を生き生きと描いている。

その中に亡くなってしまった女の子の絵もあった。

大きな画用紙に描かれた家族の絵。

お父さんが赤ちゃんを抱っこして、お母さんと一緒に花壇に水をやっていて、二階の窓からは、女の子とお兄ちゃんが三人に向かって手を振っている。

そんな、家族の日常を描いたほのぼのとした絵。

…先輩はハッとした。

今回の火事で逃げ出せたのも外に居る設定で描かれていた三人。逃げる事が出来ずに亡くなったのは家の二階に居る設定で描かれていた二人。

「まさかとは思うけどさぁ、二階に居て手を振ってるのって、火事で身動き取れなくて助けて欲しくて手を振ってる姿だったり…しないよな。」

先輩はそう言うと黙り込んでしまったという。
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