次の鬼は
小4くらいの頃の話
ある体験がきっかけで霊能力が目覚めた俺。でも子どもながらに
『こんな力があるって知られたら友達なくすかも』
と思って友人の前では見えたり聞こえたりしても無視していた。
そんなある日の事。うちの弟(当時6歳?)と同年代の弟の友達二人が夜遅くまで帰って来なかった。日頃から17時までには帰って来いとしつこく言われていたので両親は血眼になって思い当たる所を探した。もちろん友達の親達も協力して。だけどいくら探しても見つからない。困った親達は警察に連絡するか考えていた。
その時…
ふと霊的な何かを感じた俺。
「〇〇幼稚園」
自分でもよくわからないうちに喋っていた。父から
「そこがどうした?」
と聞かれた俺は
「そこにいるよ、4人いる」
と、またも口が勝手に動いたかのように喋った。
大人達は最初不思議そうな顔でごにょごにょと何やら話していたようだったが、もう探せるところは探していたため、俺の言った幼稚園へ向かい出した。
大人達が不思議がるのも無理はない 俺の言った幼稚園は同じ町内にあるとはいえ町のはずれの方にあって意外と遠い。とてもじゃないが子どもが気軽に遊びに行くような距離ではない。車やタクシーを使ってみんながその幼稚園へ着いて見た光景は不思議なものだった。
うちの弟とその友達が二人で縄跳びを回していたのだ。真ん中には誰もいない。だけど二人はとても楽しそうに手を目一杯伸ばして大きく回していた。その異様な光景に大人達でさえ一瞬時が止まったかの様に動けないでいた。
みんなが立ち止まっているとうちの弟がこっちに気付き手を振りながら向かってくる。それに気付き我にかえったのか両親が駆け寄り抱き締めた。弟は不思議そうな顔をしていた。友達は親に叱られていたようだった。
そんな和やか?な時間はすぐに過ぎ去った。
「〇〇ー!」
必死に我が子の名前を呼ぶ友達の両親。そう、もう一人の子がいなかったのだ。
幼稚園の運動場をみんなで探した。するとドーム型の遊具の中にその子はいた。だが全身に痣がたくさんありぐったりしていた。それを見たその子の母親は悲鳴をあげ
「救急車を早く呼んでー!!」
と、夜である事など構わずに騒いだ。
「〇〇くんは一番に見つかったら罰ゲームされたんだよ」
うちの弟がそう言った。
「お前達がしたの?」
「ううん」
そして弟は指をある方向に指した。
それはさっきまで弟達が縄跳びをしていた場所。そっちを向いて一気に鳥肌が立った。
弟達と同い年くらいの女の子がそこにいた。
ドロまみれの服。右側だけ坊主に近いほど短い異様な髪型。俯いているその体勢。
全てが異様だった。
「マキちゃんだよ」
楽しそうに笑う弟。そんな弟に目をやると弟の横に女の子が来ていた。血色の悪い顔を上げて俺と目が合ったその子はこう呟いた。
「今度はお兄ちゃんと隠れんぼしよっかな」
その後3日間俺は意識を失ってた。(後で親に聞いた)
弟は当時の事は覚えてない。もちろん友達二人も。
あの女の子は俺に憑いて来た。
電信柱の陰。押し入れの中。こたつの中。
どうやら隠れんぼをしてるらしい。
でも俺は気配を感じても決して見ない。見つけてしまったら次はこの子が鬼の番だから…
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