フェイドアウト
見た見たとうとう見たマジで見た。もうだめだ。なんだか怖いってよりびっくりした。ってか斬新過ぎてもう参った。とりあえず今帰ってきたんだが。
もうわけわかんねえ。とりあえず速報だからテンションおかしいけどこのまま続ける。
あの。俺病院勤めてるんだ、情報システム室にね。 でね。まあなんだ。今日ねちょっと前まで談話室なんかで良く元気よかったお婆ちゃんが最近体調を崩して顔を見なかったんだけど。
今日ね。夕方だな。窓辺のいすに座ってぼ〜っとしてるそのおばあさんみたのよ。そうそう。それがあれなんだけどてっきり、俺は良くなったんだと思って
「やあ、吉川さん(そのおばあちゃん)、なんだ元気になったんだね」
なんて言って向こうもいつも通りニカーって笑って、確か
「山の尾根もかみしこ(?)」(意味わからなかった。
てね。まったく関係ない話するのよ。
今日雨降ってるし、この病院から山なんて見えない。何かわからないから
「は?」
ってね。もしかしてぼけちゃったのかと思ったのよ。
お婆ちゃんなぜか
「ぉーっ」
て小さく口を開けるようにしてこっち見て。何か関心してるっぽい顔するのよ。
えー?どうしたのよ。ってちょっとこっちがポカーンとして見つめてたら消えるとか透けていくとかなしにいきなりいなくなった。
いや、見てた。目の前だった。フェイドアウトなしに突然視界から消えた。
ほんと、なんていうか。難しい意識が一瞬飛んだのかと思うくらい瞬間的に消えた。
で、そのまま。え?あれ。なんだっけ。あ、そうそうって、今吉川さんと話してたよな確かみたいな。
で、あれー?どうしたんだっけかなあ。なんて1,2分くらい混乱してた。で、わかったのよ、さすがの俺も、オカルト好きだから。
あ!その後がくがくになって、すぐに病室に。俺が発見することになった。この病院につとめてても部署があれだから人の死に直面することはあんまりなかったけど、勤め初めて1年半で3回目第一発見は俺初めてだった。
あーゆーときがくぜんとすると思ったらハキハキ体が動いたよ。すぐに看護婦さんを呼んで、先生に発見した時の話してついでに、窓辺の話もしてみたけどふーんってだけ。きっと信じてないね。いや、わかってたのかもしれない。
とにかく見た。とうとう見た。本当にびっくりした。でも、お婆ちゃん。亡くなっても笑ってた。それだけは覚えてる。
ごめんいまさらちょっと怖くなってきた。まあそんなところ。
おかしいな、確か10時には帰ってたのに。もうこんな時間か。まあとりあえず見た。やばい本当に怖くなってきた。お婆ちゃん。安らかにね。
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