眼球

その日も私は眠る前に布団の中で携帯でモバイル対応の恐怖系サイトを見ていた。

ランキングから色々飛んでみたのだが、管理、更新がしっかりしているサイトもあれば放置されていて荒らされているサイトもあった。

その放置サイトの中の一件に、『怖い話投稿』という掲示板があった。訪問者がスレッドに怖い話を投稿していくというよくあるもの。

何気なくその掲示板を見ると、案の定、宣伝と荒らしの宝庫。肝心の『怖い話』は一部しかなかった。それもどこかで読んだような怪談と都市伝説ばかり。

ふと見ると、荒らし書き込みの中に画像付きのものがいくつかある。その一つを開くと…

「!」

お約束の恐怖画像。目を見開いた女のアップ。

予想できたはずなのに、気を抜いていた私は驚き、携帯をベッドの下に落としてしまった。

「ぁー;」

古くて壊れかけた携帯の安否を気にしながら拾い、画面を見ないようにしながらネットを切断した。

「これ以上壊れたらやば…ん?」

待受に戻った画面を見ると、液晶左上に小さな黒い点が。

「壊れたか?」

少し気になったが、ネットも繋がるし通話も問題なさそう。それに液晶画面の時計を隠す位置でもなかったので大丈夫だろうと判断し、もう遅かったのでその日はそのまま眠りに就いた。

しかし日が経つにつれ、その黒い点は段々大きくなっていく気がした。数週間後には「気のせい」なんて思えない程に大きくなり、あるものの形になっていっていた。…小さな点は今では眼球に見えていた。

横向きの眼球に見えるそれに私は恐怖を覚えつつも、忙しさにかまけて機種変更をしない日々を続けた。オカルト好きな私の見方かもしれない、ただの液晶劣化だろう、と自分に言い聞かせていた。

しかし私は数日前にようやく携帯の機種変更をした。仕事を抜け出し、慌ててショップに駆け込んだ。

…実は先日、私は気付いてしまったのだ。液晶画面の眼球が少しづつこちらに視線を移そうとしていることに。

確かに真横を向いていた黒目が、今ではこちらに向かって斜めを向いていた。

目を合わせるのが怖くて私はすぐに機種変更をした。その携帯電話本体は電池パックを抜いてショップに返却したので、どうなったか定かではない。

だけど気をつけてください。

回収された携帯電話本体は、修理中の代替機に使われたりするでしょう?私のその携帯電話が修理されて代替機として使われているとしたら、何かの拍子でその眼球が現れてもおかしくないじゃないですか。

いいですか、決してその「眼」と視線を合わせないでください。

何とも言えませんが、何か起こる気がしてならないのです…。

Do○oMoのFO○Aユーザーの方、お気をつけて…。
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