新S区の住人

九州のある地域の話。仮だがS区という地域の山を越えた地域の裏S区って呼ばれてる地域の話。現在では裏とは言わずに「新S区」って呼ばれてるがじいちゃん、ばあちゃんは今でも裏S区と呼んでる。まぁ、裏と言うのは良くない意味を含んでる。この場合の裏は部落の位置する場所を暗に表してる。高校時代は部落差別の講義も頻繁にあるような地域。そこでの話。(あくまで体験談&自分の主観の為部落差別、同和への差別の話ではありません)

今から何年か前に男の子(仮にA)が一人行方不明になった。(結局自殺してたのが見つかったけど)俺はS区出身者。彼は裏S区出身者だけどS区の地域にある高校に通ってた。まぁ、彼は友人だった。あくまで「だった」だ。

1年の頃は仲良かった。彼が一人の生徒をいじめるまでは。いじめられたのは俺。周りはだれも止めない。止めてくれないし、見てもない。傍観者ですらなかった。必死にやめてと懇願しても殴る、蹴る。俺は急に始まったから最初はただの喧嘩と思い殴りあったが、彼の体格と俺のでは全く強さが違う。でも、次の日も急に殴ってきた。意味も無く。理由を聞くも答えない。薄っすらと笑ってたからもう兎に角怖かった。

ある日いきなりAが学校に来なくなった。俺はかなりうれしかった。でも、もうその状況では誰も俺に話かける奴はいなかった。初めての孤独を味わった。多数の中に居るのに絶対的な孤独だった。

それからAが3週間学校を休んだある日、先生が俺を呼び出した。ここからは会話

先生「お前Aと仲良かっただろ?」
俺 「いえ・・。」
先生「う〜ん・・・。お前Aをいじめてないか?」
俺 「はい??え?俺が??それともAが俺を???」
先生「いや、お前が。大丈夫誰にも言わんから言ってみろ。問題にもせんから」
俺 「いや、俺がですか???」

このときは本当に意味が分からなかった。先生の中では俺がいじめてることになってるし。で、俺は本当のことを言うことにした。

俺 「本当は言いたくなかったけど、俺がいじめられてました・・。皆の前で殴る蹴るの暴力を受けてましたし・・・。」
先生「本当か??お前が??他の生徒も見てたか??」
俺 「見てましたよ。っていうか何で先生は俺がいじめてるって思ったんですか?誰かが言ったんですか?」
先生「いや・・・。いや、何でも無い。」

先生の態度がこの時点で明らかにおかしい。何故か動揺してる感じ。それから数分二人とも無言。その数分後にいきなり先生が言い出した。

先生「Aがな、休んどるやろが?なしてか分からんけど、登校拒否みたいな感じでな家に電話しても親がでておらんって言うてきるんよ。」
俺 「・・・。」
先生「そんでな、昨日やっとAと連絡とれて、色々聞いたんよ。そしたらAが言ったのがお前が怖いって言うんよ。」
俺 「はい??俺が???」
先生「う〜ん・・・。そうなんよ。お前が怖いって言って聞かんのよ。」
俺 「いやいや、俺が?逆ですけどね。俺はAが怖いし」
先生「ほうか、いや、分かった。もっかい聞くけどお前はいじめてないな?」
俺 「はい。」

って言うやりとりの後解放されて、自宅に帰った。

実際のイジメって多人数を1人でイジメルものだと思ってた。中学生の時にイジメを見たことあったからそのときのイメージをイジメだと思ったし、よく聞くイジメも大体が多人数が1人にお金をたかる、トイレで裸にする。こういうことをすることだと思ってた。まさか、たった一人の人間がたった1人の人間をイジメルのに先生まで巻き込み俺一人だけをのけ者にしようとしてるとは思わなかった。生まれて初めて人に殺意を抱いた。ぶん殴るとかじゃなく、ぶっ殺したい。って本気で思った。

その次の日から俺は学校を休んだ。行く気にはなれんし、行っても一人だし。と思って。ただ、この登校拒否中にありえないものを見てしまい、俺はちょっと頭がおかしくなりかけた。

起こったのは、「飛び降り自殺」


俺の住んでたマンションから人が飛び降りた。たまたまエレベーターホールでエレベーター待ちだった俺の耳に「ギぃーーーーー」って言う奇怪な声と、その数秒後に「どーーーーん!」っていう音。そのどーんっと言う音は自転車置き場の屋根に落ちたらしいのだが、それを覗き見たときは本当に吐き気と涙がボロボロ出た。

これはただの恐怖心からなんだが、でもイジメにあっていた俺にはとてつもなく多きな傷だった。これは本当にトラウマになっていて今でもエレベーターに乗れなくなった。会社とかにある建物の中にある奴はまだ何とか乗れるが、マンションにあるような外の風景が見えるものには全く乗れなくなった。なぜならこのときに絶対ありえないものを見たから

自転車置き場を見下ろしてた俺が前を向きなおした瞬間に螺旋階段が見えた。そこに下に落ちてる人間と全く同じ服で髪型(これは微妙で下にあるモノとは異なってたようにも見える)のニンゲンが立ってた。これは多分見てはダメだったんだと思う。螺旋階段を下に向かってゆっくり降りていってたんだ。すごくゆっくり下を向いたまま歩いてた。下にあるものと瓜二つのニンゲンが。

ここでエレベーターが来たときの合図の「ピン」って音が鳴ったんでビク!ってなり後ろを振り向いた。そこにも居た。と思う。多分いたんだろう。でも良く覚えてない。今考えれば居たのか?と思うけどそのときは居たって思ってた。「ピン」の音に振り返った瞬間にどーんって再度聞こえたんだ。でも、今度の音はエレベーターの中から。どーん、どーーん。どーーーん。どーーーーん。って

俺はもう、発狂状態になってそれから倒れたみたい。

直ぐに病院に連れて行かれた。見たもの、聞いたものを全て忘れるように医者から言われて薬も処方されてそれから1週間は「うぅぅ」ってうめき声を上げてるしかなかった。1週間過ぎぐらいにはだいぶ良くなっていたのだけど、本当は親や医者をだましてた。よくなってなんか無かった。寧ろそのときからその「どーん」って音はずっと着いて廻ってた。

その後、学校に行こうと思いだしたころにAの存在を思い出した。俺がそもそもこんな事になったのもAのせいだ。あいつがあんなイジメをしなければこんな目にもあわなかった。アイツは俺をこんな目にあわせる様な奴だから居なくなればいい。そうだ、この「どーん」って言う音に頼もう。って本気で思ってた。俺は本当におかしくなってたんだと思う。本気でこの「音」の主にお願いしてた。

次の日に学校に行った俺は昼休みの時に早退したいと先生に言った。先生も俺がどういう状況かを知っていたからすぐにOKを出してくれた。Aはその日も休みだった。

その帰りがけに先日部落差別を無くそうという話を学校でしていた(講義で)、おじさんに出会った。そのおじさんはAのおじさんに当たり何度か会って話したこともあった。だけどそのおじさんが俺を見た後からの様子や態度が明らかにおかしい。最初見かけた時は普通に挨拶をしたのにその後俺を二度見のような感じで見ていきなり、

「あ〜・・・。」

とかいいだした。俺は

「こいつもAに何か言われてんのか?」

って感じで被害妄想を爆発させて怪訝な態度のこのおじさんを無視して横切っろうとしてた。

そのときに急にそのおじさんがブツブツブツブツお経のようなものを唱え始めた。俺はぎょっ?!っとして、そのおじさんを見返した。いきなり、あって

「あ〜」

などとわけのわからない態度を取り出し、それだけならまだしも俺にお経を唱えたのだ。

生まれて初めて自分から人をぶん殴った。言い訳がましいけど精神的におかしかったから殴る事の善悪は全くなかった。ただ、苛々だけに身を任した感じ。いきなりでびっくりしたのかそのおじさんもうずくまって

「うぅ。。」

って言ってたが無視して蹴りを入れてた。Aの親戚ってだけでも苛々してたのもあり、

「こら、お前らの家族は異常者のあつまりか?人を貶めるように生きてるのか??お前差別をどうのこうの言ってたが自分がする分にはかまわんのか?あ〜??何とか言えや。こら!お前らは差別されるべき場所の生まれやけ、頭がおかしいんか?」

って感じでずっと蹴り続けてた。

でも、ここで再度予想外のことが起きた。以下会話。

おじさん「ははははははははは」
俺 「!?なんか気持ち悪い。いきなり笑い始めやがって!」
おじさん「あははははは。お前か、お前やったんか。はははは」
俺 「??まじ意味分からん、なんがおかしいんか?」(未だ蹴り続けてたけどこの時は大分蹴りは弱くなってる。) おじさん「ははは、やっと会えたわ。はははそりゃAも****やなー。ははは」(何を言ってるのか意味不明。) 俺 「は???お前ら家族で俺をイジメようてしよったんか?」(この辺りで怖くなって蹴らなくなってた) おじさん「おい、お前がどうしようが勝手やけど、○○←俺の名前 が痛がるぞ。アニキは許しても俺は見逃さんぞ」
俺 「は???マジでお前んとこはキチ○イの集団なんか?おい?」 おじさん「○○君、ちょっと黙っとき。おじさんが良いって言うまで黙っとき」
俺 「いや、意味わから・」

「どーーーーーん」

いきなり耳元で音が鳴った。俺はビクってして振り返ったら目の前にのっぺりとした細面の顔が血だらけのままピクピクしながら笑ってた。俺はまた、発狂した。

この顔の見え方がかなり異常で、通常ニンゲンの顔を見る場合に半分だけ見えるって言うのはありえない。でもこの目の前の顔は、例えていうとテレビ画面の中にある顔がカメラのせいで半分だけ途切れてて半分は見えてる状態。

その瞬間にAのおじさんに力いっぱい殴られて、意識を失った。

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