残虐な夢

昔みたビデオの中に、とかく残酷だったり、残虐だったりのシーンだけのビデオがあった。これは、当時、中学の先生が視聴覚室でみせてくれたものだが…まさか…あんなことになるなんて…。

ビデオの内容は…

首の切断、脳みそを頭をあけて食べる人、お腹が空いて自分の腕を食べる人…豚や牛の解体、数々の拷問…男性器を1pずつ輪切りにする(無修正)、女性器に溶けた鉛を流し込む(無修正)…とかくこんな内容が1時間以上のものだった。

先生は楽しんでいたが…生徒の一部…いや一人を除いては、激しく引いていたのだが…

ちなみに、その楽しんでいた生徒は、いじめられっ子で、いつも虐げられている彼にはその光景が何となく魅力的だったのかもしれない。

しばらくして、いじめられっ子(以下A)は学校に来なくなった。別に、私たちとしてはいてもいなくても関係ないので…まぁ、いつもと変わらない学校生活を送っていた。が…半年が経った頃、うちのクラスがおかしくなっていることに気がついたんだ。この半年で、もうAを含め8人も不登校の状態になっている。

最初は休みがちなだけかと、思っていたが、もう1ヶ月以上彼らをみていない。Aに関しては、4ヶ月以上だ。それでも、変わりなく学校は運営されているし、クラスも何もないような雰囲気で時間が経過している…。なんとなくだが、皆、このことに触れてはイケナイと直感して、気がつかないフリをしているだけなのかもと感じた。

そんなかんなで、不登校になった彼らをちょっとだけ心配しつつも、まさか、あのビデオが発端なんて…解らなかったよ。最後まで…。

そうこうしつつ、さらに1ヶ月が経過して、ポケベルが入ったんだ。

シキュウ デンワモトム
04※※34※7※6

誰だろって思って、一応近くの公衆から電話してみたら、友達のBだった。Bは、うろたえながら…

『うちのまわりにいるんだよ!』

俺が誰が?って聞いたら、

『Aとか、最近、学校にこない奴らが、一緒にいるんだよ!助けてくれよ!』

っていうわけさ。とりあえず、ヤバイのかなと思って、

『今から行くから待ってろ』

って俺は言ったんだ。

そしたら、

『はやっ…!』

ツーツーツー…

切れちゃったんだ。

これマジでヤバイと思って、奴の家にチャリンコをダッシュで走らせたよ。家の距離はうちからチャリンコで10分の距離だからすぐついた。とりあえず、ピンポーンってベル鳴らしてみた…

シーンとしてる。何回かベル押したけどでてこないんだよね。でさ、とりあえず、鍵もかかってないし入ることにしたんだ。

おーい、Bいるかぁ…来てやったぞ〜

返事もない。

台所に便所にお風呂に奴の部屋、どこ探してもいないワケ。俺、騙されたと思ってイライラしながら帰ったんだ。

でも、次の日…Bも学校に来ない。その次の日も、さらにその次の日も…

ちょっと、ヤバイ雰囲気なので一応、先生に相談したんだ。Bからベルが入ったことや、電話が途中で切れたこと…家にBがいなかったこと…、とりあえずみんな話した。

でも、先生はまったく無関心で…話し半分も聞いてくれなかった。だから、クラスの奴らにも、今回の出来事を話したんだ。すると…何人かが、その8人でつるんで歩いているのを見たって言ったんだ。とりあえず、仲間で8人+Bの家を一軒一軒、訪問することにした。

各家に訪問したら、みんな家にいたんだ。俺らは事件な感じが薄くてちょっとがっかりだけど、その半面、事件じゃないことに妙な安心感があった。で、いったんだ。

『いいかげん、学校に顔出せよ。みんな、心配してるぜ?』

そしたら…奴ら示し合わせたかのように同じこというわけ、

『今、ちょっと忙しいから行けない』

でもさ、義務教育中の学生に学校にいけない忙しさなんてある訳無いじゃん?とりあえず、みんなで家の回りを監視することにしたんだ。

家の回りで見張ってると…出て来たんだよ。奴ら、他の奴ともベルで状況を確認してたんだけど、だいたい同じくらいの時間にみんな外出しはじめたようだ。

俺らバレないように、奴らを尾行したんだ。そしたら、どこに行ったと思います?学校だよw

昼間に来いよって思いつつも尾行していると…裏にあるウサギ小屋に向かったんだ。てか、俺、そんなとこにウサギ小屋があるのをそんとき初めて知ったんだけどね…。

続々と他の不登校児も集まってくる、俺らも合流した。

で、ぞくぞくとAも含めみんな集合したワケで、俺らは小声で、何が始まるか話し合ったワケさ。けっこう、俺らもオカルト好きだから、何が始まるのか皆でせーので言おうぜ、ってことになり…せーの…

『イケニエ!』(小声)

みんな同じこと言った。すると、向こうからもう2人やってきた。先生と…C子だった。ちなみに、C子はAがいなくなったあとのいじめられっ子で、これもまた、みんな同じ意見がでてきた。

『これって、いじめられっ子のサークルじゃね?w』

みんな、うんうんと頷く。Bに関しては、いじめられっ子ではないが、どことなくメンバーは目立たない奴らばかりだ。じゃあ、先生は?って他の奴が聞いた。護身術とか教えてるんじゃね?wとクスクス笑ってみた。馬鹿げてるけど妙に納得できる理由だったから…

でも…

次の瞬間…目を疑ったよ…先生が突然、C子の髪を掴んで、壁にたたき付けたんだ。俺ら、まじでびびって声も出なかった。さらに、顔から血を流してるC子に対して、回りの奴らも唾とかはきかけてるんだ。それだけじゃない、殴るし蹴るし…とかくめちゃくちゃだった。

C子はものの数分でぐったりしてて…俺ら…逃げたかったけど、動けなかったんだ。もう、怖くて息も殺してたよ。あいつら、動かなくなったC子をずっと蹴ってるんだ。

つまり、イケニエはC子だったらしい…

さらに…

ウサギ小屋で、そのうにの一人がごそごそとなんか取り出したと思ったら、あいつら、なんか手にナイフもってるんだよ。でさ、ぐったりしたCの足とか手の皮に傷をいれて喜んでるんだ。Aなんか切り取って、なんか喰ってるようにみえた。先生はニタニタしてそれを見守っている。月明かりに照らされてかなり気持ち悪かった。

もう、俺ら…堪えられなくなって逃げ出したんだ。後ろを振り向いたけど、奴らは追ってこなかった。こっちをみてニヤニヤしている…

もう、何がなんだか分からなくなって、どうやって家に帰ったのかも分からない…そして、朝…眠りから覚めた。いつもの朝が始まった。昨日の微妙なビデオで変な夢をみたにちがいないって思ったし、夢でよかったとも思った。

学校にいくと、みんないる、どうでもよかったがAもいる。やっぱり、夢じゃん…って俺、すごく安心したんだ。そして、皆で昨日の夢の話しをしたんだ…そしたら…全員…同じ夢をみたって言うんだ。登場人物も場所設定も、時間設定も…まったく同じ夢…でも、向こうにはAもいるし、Bもさっき登校してきた。他の不登校のやつらも登校してる。不思議な夢だって皆で話してたんだ。

チャイムが鳴り…

先生がいつものように入ってくる…

そして…いつものように出席をとりはじめる…

…○村C子?

○村?

C子はその日、学校に来なかった…ふと、Aの方に目をやると…

気持ち悪い笑みを浮かべこっちをみていた…。いや、見ているような気がした…。本当は怖くて奴の方なんか見られなかったんだ。

その夢以来…俺はC子の姿をみたことがない…
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