墓場まで持っていく話

今から書く話だが、信じてくれなくても構わない。だが俺はこの話を書く事を今日この場を借り一回限りにする、後は墓まで持って行く覚悟だ。携帯、長文だがどうか付き合ってくれ、頼む。

昨日、久々に俺はM県にある実家に帰省。上京してから6年振りという事もあったが、実家までの景色は全く様変わりはしていなく懐かしく思えた。

だが、実家に着いた途端なにかがおかしい事に気づいたんだ。最初のうちは久々に帰ってきたからか、と思いあまり気にはしなかった。

家へ入るため、車を車庫に入れようとハンドルをきった瞬間…俺は頭の中をかき回される感覚がし、思わず車内で吐いてしまった。

「あー、やっちまった!」

と言う前に、その時は

「俺はじゃない!(父親の名前/健在)だ!」

となぜか一人で呟いていた。

俺はふとゲロからサイドミラーに目を移し、車庫の横に目をやった。ここでようやく今の実家が、前の実家となにが違うかに気がついた。俺が産まれるより、もっとずっと昔からある小さな倉庫が綺麗さっぱりなくなっている。

「19歳までは絶対に入ってはいけない」

と念を押さた。うろ覚えだが扉には大きな黒紙に白字で「封 殺 納 孫」と書かれており、たしか「納」の字だけが赤字だったはずだ。

それから俺は変わった様子もなく元気な家族に会い手土産を渡し、車内にあるゲロを片付け気づけば夕方になっていた。夕飯を食べようと居間に行くと、そこには飯だけが用意されており両親と祖父母の姿はない。

俺は直感的に「あの倉庫だ」と思い、音を立てず雨戸の隙間から倉庫があった場所に目を向けようとした。だが雨戸は固く閉ざされており、ビクともしない。俺が帰ってきた時には雨戸はすんなり開いたハズだが、どこからどう見ても釘や板で打ち付けた形跡はどこにもない。

そこで何を思ったのか俺は、大声で

「ぎゃー!ぎいやあー!」

と叫んだ…今思うととても恥ずかしい。すると倉庫があった辺りから怒鳴り合う声が聞こえ、俺は雨戸に聞耳をたてた。

「(父親の名前)!だから帰ってこすな言ったべや!」
「爺様がちゃんと殺さなかったがらだべ!」
「婆様しぶ(か、すぶ)はどうだ!?」
「なんとかなっと思うけぇ」
「いいから(俺の名前)をしぶ(か、すぶ)さやれ!」
「しぶ(か、すぶ)には※す??ろ(※上手く聞き取れなかったがたしか4文字)様がいっから死ぬぞ!」

等と言っていた。後は方言がきつく聞き取れない、すまん。

そして両親と祖父母は荒々しく玄関を開け、俺の元へとかけ寄ってきた。その時の顔は一生忘れぬ程の形相で、例えて言うならば青鬼だ。皆一様に顔面蒼白で、歯をギリギリ鳴らしている。

呆気にとられた俺の肩を父親は強く掴み揺さぶり、片手に持っていた小刀の様な物で俺の左手の甲を少し切ったんだ。痛みよりその形相への恐怖が上で、俺はガタガタと震え泣いた。

「まだ大丈夫みたいだ」

その「まだ」、という言葉の意味は一体?

情けないと思うだろうが、俺はこの後失神し今に至る。この話を書いている事がもし家族に知られたらというのもあるが、父親の発した「まだ大丈夫みたいだ」の意味が気になる。

だがこの事を家族に問いただしてもいいのだろうか?時期が来たらなんらかの形で、話を聞く事になるかもしれない。それまで俺は沈黙を守ろうと思う。もし家族がこの事を俺に話す気がないのならば、最初に書いた通り俺はこの話を墓まで持って行く覚悟だ。

最後に。今朝倉庫があった場所を通りかかったのだが、穴を掘った様な跡があった。その上には紙を燃やした様な跡もあり、どこか血生臭い臭いもしたんだ。

長文すまんかった。そして付き合ってくれた奴、本当にありがとう。少し楽になった。本当にありがとう。
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