真夜中の怪奇
某目黒の式場の厨房で働いていた時の事
その日は週末で、仕込みも忙しく、仕事が終わるのが遅くなってしまった。終礼が済み、自分のもっていた仕込みが終わっていなかったので、泊まることになった。シャワーを浴び、リフレッシュしたところで厨房に入り仕込みを再開することに・・・
深夜は電気が消え非常灯の明かりが、やけに不気味に感じる。厨房は大変広かったのだが、自分が使うコールドテーブルの箇所だけ電気を付けた。
食材を広げ、まな板、包丁、バット、急いで用意し、早く終わらせようと焦っていた僕は不意に背中に冷たい嫌な感じがして後ろを向いた。自分の後ろには狭い洗い場と、洗浄機しかない。嫌な雰囲気を洗浄機に感じたが、僕は作業を開始した。
そして、付け合わせに使う野菜をすべて切り終えた頃、ふと思い出した。
『あれ?洗浄機、蓋開けておいたはずなのに閉まってたよなぁ・・・』
僕は気になって後ろを振り返ったら、洗浄機は蓋が閉まった状態だった。違和感程度を薄気味悪く感じた自分に情けなさを覚え、洗浄機に近づいた。
『何か変だな?』
洗浄機を目の前に違和感は強まる。僕は蓋に手を掛けた。
ガタン!!
蓋が勢い良く開いた。僕は手も触れていない!!
中に見えたモノ・・・
手足が無く胴体と頭だけの人間の様なソレは不快な鳴き声を発した。僕はその場から離れようとしたが、金縛りにあったように体が硬直し、動けない。
ソレはズルリと洗浄機から落ちた。手の部分は切断されたかのような切り口で、粘ついた液をドクドクと吹き出してた。そして何より異様なのは、額から上が切り取られたのか、脳も無く空洞になってた。
「ウラヲメクレ・・・ウラヲメクレ・・・」(多分こんな感じのことば)
それを聞いたところで僕は意識を無くした。
翌朝、先輩に蹴飛ばされ起きたのだがあまりの恐怖で泣きながら
「今日は帰らせて下さい」
と懇願した。
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