霊を信じる理由
〜後編〜

夏期休暇明け・・・

休暇中に総務の者に連絡しておいたせいか、花壇破壊に対する驚きの声はほとんどと言っていいほど無かった。部下達からの声も、

「あの日はちょっと信じられないっすよねぇ」

などと思ったよりショックはなさそうだった。

総務から内線が入り、打ち合わせ室に入る。

「例の事故の運転手の会社に電話しました・・・あの後、メーカー修理完了後に今度はガードレールを突き破る事故をおこし、道路下に車ごと落下し、運転手の方は死亡したそうです・・・」
「うそだろ?」
「本当です。地方紙ですが新聞にも載ったという事で、保険屋さんに提出するための記事をこちらにも送ってもらう手配を取ったところです。それと・・・Kさんですが、亡くなってはいないですよ。今のところは。ただ、自殺未遂を起こしたとのことで、今ちょうど死の淵をさまよっているところらしいです。」

ん?じゃあKの生き霊だったのか?Kがここに来た理由が分からない。

多分、守ってくれたんだと勝手に思う事にした。Kが鬱になったのは、仕事内容ではなく、もしかしてこれだったのか?人一倍残業が多かったKは、この事を誰よりも良く知っていたのかもしれない・・・

その後・・・誰もいないはずの倉庫で陳列棚の倒壊が二回。他の者が残業している間に裏口からひっきりなしの呼鈴があり、開けたら誰もいない。と思ったらフロアのドアが開く音。給湯室での女性事務員失神事件等々、休暇明けの辞表提出者3名というなかなかお騒がせな会社である。

ましてや、今現在も当然「それら」による現象は続いており、最悪の社内環境である。お払いもしたが、お札はどこかに吹っ飛ばされ、サカキは次の日に葉がほとんど取れ落ち、水はスッカラカン、塩なんぞ誰かが全部舐めてしまったかのようにキレイに無くなっている。

社内総勢約50名が「霊」の存在を信じる事となり、アンチ大○教授である。是非とも科学のチカラで解明して頂きたい。

社名を挙げる事は出来ないが、今現在求人募集をかけている。日本一長い国道沿いの会社への就職は気をつけていただきたい。
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