古ぼけた便箋
〜後編〜

‥‥やっと‥私が‥降りる駅に‥‥着いたみたい‥‥です‥‥。駅名の‥‥標識を‥見ても‥目に見えなくても‥‥はっきりと‥感じとること‥が‥できま‥す。電車は‥停車し‥ドアが‥開き‥私は降りようと‥‥立ち上がろうと‥しました‥‥が‥‥足が‥動き‥ません‥‥必死に‥動かそうとしてました‥が‥だめ‥‥した‥‥‥。

‥‥まぁ‥いい‥か‥次の‥駅で‥‥降りて‥折り返せば‥いいんだ‥‥と思い‥ながらも‥長い‥長い‥次の駅までの‥‥時間‥を過ごす‥ことにしました‥‥。でも‥だめなん‥です‥‥いくら駅に‥つこうにも‥‥立ち上がることが‥‥できないの‥です‥。

‥‥何時間‥‥いや‥何十‥時間‥‥‥、何日‥‥‥‥過ぎたで‥しょうか‥‥‥‥‥漠然と‥私は‥理解‥‥‥しまし‥た‥‥‥。‥私‥‥は‥‥‥死んで‥‥いるん‥‥だ‥‥‥‥。‥‥そう‥だ‥‥‥、手下げバック‥‥に‥手紙と鉛筆が‥入っている‥‥のに気が‥‥つき‥ました‥‥。

‥‥わたしは‥もう‥戻れない‥‥‥のでしょう‥‥なので‥‥手紙を書く‥事に‥しまし‥た‥‥。‥‥駅に‥停車したら‥‥ドアの外に‥向かって‥便せんにいれた‥この‥手紙を‥‥投げれば‥‥誰か‥‥ポストに‥‥入れて‥‥くれるかも‥‥しれません‥‥なので‥‥切手も‥貼って‥おきます‥ね‥‥

‥‥お母さん‥お元気で‥‥‥お父さんも‥ね‥‥、スケジュール‥帳に‥七時‥駅前‥大橋さん‥‥そう‥だ‥思い出した‥‥‥私は‥婚約者の‥大橋‥さんと‥‥待ち合わせ‥していたの‥ね‥‥‥でも‥もう‥遅いみたい‥‥‥‥切手は‥一枚‥しかないので‥大橋‥さんにも‥よろしく‥ね‥‥‥‥‥‥さよう‥なら‥‥‥‥‥‥‥‥

そこで手紙の内容は終了していました。管理人の話では、今A子さん達が住んでいる部屋はこの手紙の送り主であろう女性の両親が住んでいた部屋だったのです‥‥

‥20年前に書かれた‥?であろうこの手紙が現実に届くなんて‥ありえません‥。A子さんは図書館に走りました。そして20年前の新聞を手当たりしだい読み漁りそして発見しました。20年前に千葉の某駅の入り口で恋人と待ち合わせていたであろう女性が、酔払い運転の暴走車にひき逃げされ、ちょうど待ち合わせの時間に居合わせた彼がすぐに救急車を呼んだのも空しく彼女は即死だったそうです‥‥。

A子さんはこの事故の件を管理人に話すとこの事件を知っていた管理人は遠い目をしながらこう話したそうです。

この夫妻の娘は黒髪がとても綺麗で腰近くまであるロングヘアーで、漆黒のような黒髪もあいまっ「やまとなでしこ」という言葉がぴったりのとても清楚できれいな女性だったそうで両親も娘の結婚を楽しみにしていたそうです。しかしこの事件で娘を失った○○夫妻は、娘が死んだ土地にいるのはさすがにつらいという事で夫の実家である地方の田舎に引っ越していったそうです。

現実に存在するはずもない手紙になんともいえない違和感を感じながらも、いたたまれなくなったA子さんはこの手紙田舎にいる両親に送ろうかとも思いましたが過去のつらい思い出をぶり返させてしまうのも忍びないと思いあるお寺の住職に渡して供養してもらう事にしました。お寺の住職に手紙を渡し終え、心の中で手を合わせて女性の冥福を祈りました。そしてA子さんは千葉に帰るために地下鉄のホームで電車を待つことにしました。

時間帯がよかったのか待っている人はだれもおらず、一人でベンチのような腰掛に座って晩御飯のおかずどうしようなんてたあいもない事を考えていると地下鉄に列車が入ってくるのを知らせるアナウンスが鳴り響きゴゴゴゴーと列車がやってきました。

腰掛を離れ、誰もいないホームで黄色線に足を運ぶとふと階段方向から懐かしい声がしました。声の主は学生時代の親友のN子でした。しかしN子の顔色がなんとも優れないのです。体の調子が悪いのかなぁと思いながらも久しぶりの再会ということで、というよりN子の強い押しもあって電車には乗らず駅の中にある喫茶店でお茶でも飲もうという事になりました。

懐かしさのあまり2人は時間がたつのも忘れて卒業してからの事や付き合ってる男性の事などを話しました。そして話題もつきるとA子は不思議な手紙の件をN子に話しました。するとただでさえないN子の顔色がより一層真っ青になったのでした。

手紙の話を聞いてしまったN子は言える筈もありませんでした。先ほど駅のホームで乗り口に進入してくる列車に向かって歩きだすA子の後ろに、やけに古い服装をして腰まである黒髪の女が鬼のような形相で、A子をホーム下に落とそうとしている姿を‥‥‥
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