半拘束される意思

どこから話せばいいか分からないけど、まずは2ちゃんに出会ったとこから話そうと思う。

始めは2ちゃん=犯罪・悪口みたいに良いイメージは無かったな。一度見た時は掲示板がたくさんあるだけで、何がどう人気なのかも分からなかった。けど何かで検索をかけた時に2ちゃんの過去ログが出てきて、興味が沸いた。そこから物理板・未来技術板・インディーズ板を巡回するようになって、2ちゃんは情報の取捨選択ができれば、最高に面白いとこだって思ったな。専ブラをDLまでして、毎日1〜2時間は見るようになった。

そこからありがちだが、VIPに興味を持つようになった。嫌われてるイメージだが、遊び場としては面白いと思った。特に気に入ってたのは内藤ホライゾンの小説。それから内藤のキャラがすげー好きになって、そんな時に、内藤は色んな板で人気があるよってレスを見た。試しに内藤の顔で検索をかけたらあるある。大学生活板、競馬、そしてここオカ板にも。それが全ての始まりだった。

もともと俺は幽霊とかは信じてないし、不思議な現象は科学的に証明できると思うタイプだ。けど、オーパーツとか、時空に関する話しは好きなほうだから、何%が真実で何%が創作かは分からないけど、純粋に楽しんでた。

オカ板を見るようになってから一週間後くらいのことだったと思う。俺がおかしくなったのは。

その日は朝イチでレポートを提出しなきゃいけなかったのに、大学に行かなかった。いや、行けなかった。目が覚めた瞬間に、まずパソコンの電源を入れた。

俺はパソコンは夜しかしないと決めてて、ずっとそうしてきたから、おかしいと思った。っていうか、自分の意思じゃなかった。

そして、オカ板を開いて検索をかけた。検索ワードは3つ。

『絵里』『死』『海』

手が勝手に動いてるような感じがした。オカ板でこの3つのワードでは何もヒットしなかった。そうすると次は『死』だけで検索をかけた。

このスレもそうだけど、他にもスレがあって、そのスレも開いた。そして1からずっとスクロール。それが終わると、過去ログを全部読む。まとめサイトがあれば、そこをしらみ潰しに見てた。

言っておくけど、全部俺の意思じゃない。手も目も勝手に動いてるんだ。文章も読んでるけど、それに対しての感情は何も沸かない。ただひたすら怖かった。自分の意図してない行動が。

逃げたかったけど、できなかった。結局その日は疲れてそのままパソコンの前で眠ってしまった。いつ眠ったのかはよく覚えていない。

目が覚めたらまた同じだった。起動しっぱなしのパソコンでまたしらみ潰しに過去ログを漁る。何を探してるか分からない。考えたくても、文章を読むという行為と同時に考えるのは難しかった。

その時携帯が鳴った。グループごとに着信音を変えてるから、友達からだと分かった。けど出られなかった。出たかったけど、俺の手はマウスから離れない。

だけど、生理的な欲求に対しては自分の意思で行動できた。トイレも行けたし、食べることもできた。

3日目に食べ物がなくなった。一人暮らしで元々自炊をしないから、食料はたいして常備していない。

とうとう4日目に空腹に耐えられなくなった時、意外なことに外に出られた。すげー不思議な感覚だった。ふわっと自然に外に出られたんだ。持ち出したのは財布だけ。携帯を持っていくことはその時は頭になかった。何度も着信・メールが来てるのに確認することさえ体が許さなかったのに慣れたからかもしれない。

外に出た瞬間、開放された気分になった。まずはコンビニにダッシュしておにぎりを食べた。

それからもう、あの部屋には戻りたくなかった。明らかに俺はおかしい。取り付かれたように、あの3つのワードに関することを読んでいる。目的は俺には分からない。恐怖と諦めと苦痛が一時的にでもなくなって、おにぎりを食べた後安心感からか泣いた。

そして公衆電話から実家に電話した。母親が出た瞬間に、俺は泣きながら全部話した。始めは「?」って感じだったが、俺のおかしい言動を聞いて明日すぐに来てくれると言った。

俺は絶対に自分の部屋に戻りたくなかったから、友達Mの家に行った。部屋にMがいなかったから、アパートの下でずっと待ってたんだけど、Mが俺を見つけた時かなりビビッてた。後から納得したけど、俺はかなりやつれて、顔も青黒くなって、見た目もヤバかった。

Mに今までのことを話したけど、全く信じてもらえない。まぁ、俺だってそんな話聞かされても普通は信じない。けど、俺の風貌を見たのと、連絡しなかったこともあって、明らかに何か異常なことがあったという事は理解したらしい。そしてMは、俺の部屋に行くと言い出した。

俺は最後まで反対したし、俺自身は死んでも行きたくなかった。だけど、好奇心旺盛なMを止めることはできず、俺の携帯を取りに行くという名目で行ってしまった。

往復1時間弱の距離だが、その日何時間待ってもMは帰ってこなかった。外の公衆電話から、Mの携帯に電話をかけたが鳴りっぱなしで出てくれない。

Mはどうなってるんだろう・・・と不安になったけど、気づいたら俺は眠ってしまっていて、起きたら10時だった。母親が11時に新横浜につくので、急がなきゃいけなかった。行く途中に俺の家があるから寄ろうかどうか迷ってた時、Mが真っ青の顔をして帰ってきた。

「・・・本当だった」

と一言いうと、それっきり黙ってしまった。

それからMの彼女を呼んで、俺は新横浜に向かった。分かったことは少ないけど、どうやらあの部屋に何か問題があるらしい。現にあの部屋を離れてからは俺におかしな事は何も起こらない。変わりに、あの部屋に行ったMは同じ体験をした。

『絵里』『死』『海』

俺らしくないが、絵里という人間が海で死んだのを、誰かに伝えたいのか?例えば、殺されて海に沈められたけど、まだ発見されていないとか?という考えが浮かんだけど、そんなの現実的じゃない。だけど異常な体験をした俺は、昔のようにバッサリ切り捨てることもできなかった。とにかくもう関わりたくない。最終的にはそう思った。

母親と合流し、ありのままを伝えたがパニクってたなw俺が狂ったと思ったらしいwけど俺の性格を知ってる母親は表面上だけかもしれないが、信じてくれた。

俺はあの部屋には二度と戻らずに、引っ越した。引越し業者の人にパソコンなんかは処分してもらった。Mは今となっては、合コンのたびにこの話をしてる。

俺はしばらくトラウマから家で一人でパソコン(新しいの)を使えなかったけど、レポートを仕上げるのに、大学のパソコンをずっと使うこともできなくて、しぶしぶ使い始めた。けど特に変な現象は起きないから、今日久々にオカ板を開いてみた。そしてこの体験を書いてみようと思った。

理由は、やっぱり何が原因であんなことが起こったのか知りたかったから。2ちゃんなら、あの3つのキーワードで何かピンと来る人がいるかもしれない。取り付かれたように検索してたあのワードを、今は真相を知りたくて検索しようか迷ってるけど、それをするとまたおかしくなるかもしれない。だから、誰かもし真相を知ってる人がいたり、同じ体験をした人がいたらレスして欲しい。

長くなってしまったけど、とりあえずこれで俺の話は終わり。
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